ポンド急落 なにが起きた?なぜ問題?
英国の金融市場が動揺しています。株安、ポンド急落、債券安(金利急上昇)の「トリプル安」が発生し、日本やアメリカにも不安が及んでいます。なにが起きているのか。なぜ問題なのか。わかりやすく、コンパクトにまとめます。
株、通貨、債券がそろって売られる「トリプル安」。金融市場ではめったに起こりません。たとえば、「債券安(金利上昇)」なら「株高」につながることが多いですし、「通貨安」も「株高」につながりやすいからです。
それでも一斉に売られるのは「国から投資マネーが抜け出している」というよくない事態です。経済基盤が不安定な新興国ではなく、英国のような主要国で起こるのは特にまれです。
背景はあとでみるとして、まずチャートでトリプル安をみておきましょう。
特にポンド急落と金利急上昇が顕著です。9/26、ポンドは対ドルで£1=$1.035程度と、数日で10%以上下落。1972年の変動相場制への移行後の過去最安値を一気に更新しました。金利も2年債は2週間ほど前に3%程度だったのが4.5%台に急騰。アメリカの金利も抜き去りました。
きっかけはトラス新政権による経済対策です。減税の規模が事前の予想を大きく上回ったのです。景気を下支えする点では好ましいかもしれませんが、いまは急激なインフレに悩まされています。需要が強まればインフレが一段と強まり、かえって経済が不安定になりかねません。
さらにこれだけの減税を支障なく進めるための財源や歳出削減が示されませんでした。11月の予算までにきちんとした道筋が示されるかも不透明です。財政への懸念、国債需給の悪化を招き、国債売り(=金利上昇)につながりました。
なお、「債券価格の下落=金利上昇」のしくみは近日中にnoteで解説予定です。
では、なにが問題なのか。今後、どういったことに注意していくべきか、みていきましょう。
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