外国人投資家って?グラフで3分解説
(注)グラフや記事の一部はその後のデータ変動を踏まえ、上書きしています
まずはグラフから。
日経平均が連日でバブル後の最高値を更新し、話題となっています。需給面でドライバーとなっているのは外国人投資家です。
上の棒グラフにあるように、この2-3カ月、外国人の買い越しが強まっています。
背景には①東証の資本効率改善要請、②日銀の金融緩和継続、③日本国内の賃金・景気の回復期待、④来年のNISA拡充による個人投資家の流入増――などがあげられています。
で、きょうは「外国人投資家」について。
大きなテーマなので、2-3回にわけて解説しようと思いますが、今回はまずデータ面から「外国人投資家」をザックリ整理したいと思います。
◆ 長い目でみてみよう
日本株はだれがもっているのか。
投資家をザックリとグループ分けすると、こんな感じです。
外国人が30%強。個人よりもずっと多く、持っています。日本企業が株主に支払う配当も、約3割は海外投資家に向かっていることになります。
その外国人投資家のシェア。2000年以降の変化をみるとこうです。
この20年で結構あがりました。特に伸びが目立つのは2003-2005年あたり、2013-14年あたりですね。
これは外国人の日本株買い越し/売り越し状況ともピタリとあいます。
2003-2005年は10兆円ほど、2013年には15兆円ほど買い越しています。
2003年は春まで日経平均が7607円まで下落する弱い相場でした。しかし、その後、りそな銀行の救済などを起点に「悲観→楽観」へとムードが一変しました。そして2005年には小泉政権による郵政解散があり、構造改革期待で一気に海外からの日本株買いが増えました。
2013年はアベノミクス相場です。
2012年12月に第二次安倍政権が発足。2013年3月には黒田日銀がスタートしました。2003年の時と同様、日本株はそれまで低迷していた反動もあって、大量の海外マネーが流入し、株価も急上昇しました。
日経平均のグラフを重ねると、外国人の買いが相場を押し上げたことがわかると思います。
でも、「あれ?」と思いませんでしたか?
2015年以降、日経平均は結構上がっているのに、外国人の買いはあまり強くありません。
ここで、日銀の日本株ETF買いも重ねてみましょう。
一目瞭然。黒田日銀によるETF買いは年6兆円程度に増えました。主たる買い手は外国人から日銀に移ったといえます。
ただ、この2年は日銀は購入方針を変えたため、買いは縮小。事業法人による自社株買いや個人投資家の買いも増えていますが、圧倒的な買い手は現れていません。
ここで最初のグラフをもう一度みましょう。
6/2までの10週間で4.5兆円買い越しています。この数カ月の買いの勢いは10年のスパンでみても指折りの勢いです。海外投資家と接点のある市場関係者からも「ムードがかなり変わってきた」という声も聞かれます。
外国人は日本株の売買代金の7割以上を占めており、買いの勢いが強まれば、株の上昇圧力は強まります。
もちろん、この買いがどこまで持続するかはわかりませんが、にわかに注目が高まりました。きょうはとりあえず、ざっくりデータ解説でしたが、市場や皆様の関心が高ければ、外国人投資家の解説を重ねていきます。
👇6/6に配信した「ドル換算でみる日本株」も高い反響があったので、あわせてご覧ください
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