日本のインフレ 円高でどうなる?
今週は1日2本くらいのペースで記事をアップしたかったのですが、いろいろスケジュールがタイトでして、ならすと1日1本くらいになっています。
年末にかけて、もうひと踏ん張りします。が、限界もあるので、積み残した分は年明けに展開していこうと思います。
で、きょうは引き続き「日銀緩和修正」関連。おととい流した「どうなる?住宅ローン金利」は結構好評でした(下記)。
金融政策そのものや金融市場の反応は大事ですが、やはり「で、結局、私たちの生活は?」というのはとても国民の関心をひきます。
きょうは円高に反転したことによる物価への影響を、みやすいグラフを使って、コンパクトにお伝えします。
◆ まず現状確認
ちょうど今朝、11月のCPI(消費者物価指数)が発表されました。
「生鮮食品除く」で3.7%となり、オイルショックが尾をひく1981年以来、41年ぶりの伸び率を記録しました。エネルギーも除いたベースでは2.5→2.8%と加速しています。
◆ 何が値上がり?
特に目立つ品目をピックアップしました。
ザックリまとめると、食品、光熱費、携帯電話(iPhoneなど)あたりです。いずれも輸入に頼る度合いが大きく、秋までの急激な円安が影響しています。最近は洗濯機や冷蔵庫といった家電も高くなっています。
値下がりもいくつか載せました。電気・ガスは高くなっていますが、水は輸入に頼っていないので、高騰していません。いわれてみれば当然ですが、同じ公共料金でもこうして違いが出るのは興味深いですね。
同様にパンは高騰してもコメは横ばいです。国産品やサービス業は輸入品と比べて、インフレの波が及びにくくなっています。「コストプッシュインフレ」の典型的なかたちですね。需要がモリモリ強くて物価が上がる「ディマンドプル」型の色合いはあまりありません。
◆ 円安効果をひとめで
下記は企業物価指数という別の指標です。
このグラフを載せたのは「円安効果」がわかりやすいからです。
企業取引の輸入物価を「ドルなど契約通貨ベース」でみたのが青い線、「円ベース」でみたのが赤い線です。今年に入り、赤が青をだいぶ上回っていますね。これはその分、円安によって海外のモノを仕入れる値段が上がったということです。
付け加えると、青い線は2021年のなかごろから結構あがっています。これは原油など商品市況が上昇したためです。ことし前半はウクライナ戦争がはじまり原油が一段高となりました。「資源高」「円安」がダブルパンチのようになっていたわけです。
ただ、この数カ月は青い線がかなり下向きになりました。原油や小麦の高騰が一服したからです。最近は「資源高」よりも「円安」のほうがインフレへの寄与度が大きくなっているということです。
◆ じゃあ来年は?
もういちど企業取引の輸入物価のグラフです。赤い線でも伸び率は鈍化してますね。さらに最近は10月までの円安が一転し、円高になっています(もうひとつ下のグラフ)。私たちの買い物の値段はどうなりそうか、みていきましょう。
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