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【そもそも】ジャクソンホール会議って?

今週のマーケットニュースでは「ジャクソンホール会議を控え…」というフレーズをよくみかけます。

日本時間あす8/23(金)23::00ごろパウエルFRB議長の講演が注目されているためです。

9月のFOMCでは利下げが確実視されています。「0.25%利下げ」の予想が優勢ですが、一気に「0.50%利下げ」との思惑もくすぶります。

下記の通り、今年残り3回のFOMCで計1.00%の利下げが見込まれています。

今後の利下げスタンス雇用悪化リスクについて、どういうメッセージを打ち出すのかが焦点です。

講演時間はちょうどテレ東WBSの生放送中になりそうです。タイミングがあえば番組中でスピード解説します。翌朝までにはnoteでも要点をお伝えしますね。


さて、「ジャクソンホール」とは。昨年もnote記事を書きましたので、少しだけリライトして、👇にもう一度はっておきますね。

◆ Hall(式場)ではなく、Hole(穴)

カタカナだと、「コンサートホール」のようなHallと勘違いされがちですが、Jackson Holeです。

米北西部ワイオミング州、グランドティトン国立公園の玄関口で、夏は避暑地、冬はスキーと、人気のリゾート地です。山々に囲まれた平地が「穴」のようにみえたことからJackson Holeと名付けられました。

カンザスシティ連銀主催ですが、ジャクソンホールまでは直線で1500kmと、東京~那覇ほどの距離があります。それでも、もちろんカンザスシティの管轄区域。アメリカの広さを改めて感じさせられます。

移動はジャクソンホール空港からレンタカーの利用が一般的です。

下はGoogleマップの空港の画像。平原に滑走路と空港ビルを建てたような感じですね。それだけ自然いっぱいということです。

そして、ジャクソンホール会議は毎年8月下旬に開かれるシンポジウム。カンザスシティ連銀の主催ですが、FRB議長や地区連銀総裁、さらには世界中の中銀首脳や精鋭・重鎮のエコノミストが集います。

会場はロッジ(戸建ての客室)がたくさん並び、中心部にはリゾートホテルのように宴会場やレストラン、客室があります。ロッジの客室はテレビもない素朴な部屋です。

ためしに9月平日の予約画面をみてみると、1泊489ドル~(71,000円~)。インフレ&円安で、なかなかの価格です。

私は日経新聞にいた2019年に現地に出張しました。上記は個人のiPhoneで撮った写真。このようにパウエル議長ら中銀首脳やエコノミストが談笑してる姿はあちこちみられます。Tシャツ、スニーカーといったカジュアルな服装で、記者の取材に気楽に応じてくださるFRB幹部も多くいらっしゃいます。

イベント時間外になると、出席者もラフな服装にかわります。

ロビーではパウエルさんがスニーカー姿でタブレットで作業していたりしますし、イエレンさん(当時はFRB議長退任後で財務長官就任前)がおみやげを買ったりしていました。話しかけても、気さくに挨拶してくれます。

すぐにロッジを離れて、釣りなどを楽しむ人も多いようです。

◆ 金融市場が注目

会議は1978年~開かれていますが、この10年あまりで金融市場での関心が高まりました。2010年にはバーナンキFRB議長(当時)が追加緩和を示唆。2020年には金融政策の新たな指針を固めました。この日の声明は、FOMCと位置づけ、notation voteというかたちでFOMCメンバーの承認を得ています。

こうしたことからパウエル議長の講演のなかでも特に重みのあるイベントとして認識されています。例年は8月はFOMCが開かれないため、7月, 9月FOMCの中間評価的な役割も担っています。

◆ 今年のテーマ

シンポジウムのタイトルは「金融政策の効果と伝達の再評価(Reassessing the Effectiveness and Transmission of Monetary Policy)」です。

開催初日(8/22)は夜に「レセプション&ディナー」がカジュアルに行われます。

8/23に実質的にイベントがスタート。例年、皮切りにFRB議長の講演があります。今年は8/23 23:00(日本時間)にパウエル議長が話します。

◆ 植田総裁は欠席

日銀からも例年、総裁や副総裁が出席します。

昨年は植田総裁がパウエルFRB議長やラガルドECB総裁と談笑している写真がメディアに流れていました。

しかし、今年は植田総裁は欠席。

7月の利上げを巡って、国会の閉会中審査にあす呼び出されているためです。

日銀法では、国会の求めに応じて、総裁らが政策や業務運営を説明することが定められいます。ジャクソンホール会議があっても国会を優先するのが原則です。

ただ、ジャクソンホール会議は世界の中銀首脳が集う貴重な機会で、非公式なやりとりも中銀間の連携上、重要です。

利上げを巡って市場の混乱があったとはいえ、このタイミングで植田総裁を国会に呼ぶことには賛否もあります。


あすは植田総裁の国会答弁も含め、重要なポイントを簡潔にお伝えしようと思います。

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