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どうなるFOMC 日本時間11/3(祝)未明

米金融政策を決めるFOMC。日本時間11/3(祝)未明に結果がでます。米景気はもとより、世界経済金融市場に大きな影響を与えます。

まずざっくりプレビューから。

今回の会合では9割近くの確率で0.75%利上げが予想されています。直前でこれほどの高い確率のなか、もし0.50%や1.00%の利上げとなれば、「市場との対話ができていない」ことになります。この数日のうちに何らかのショックがない限りは、0.75%利上げが確実といってよさそうです。

◆ 焦点は12月以降

市場の関心は「12月の利上げ幅」「来年の利上げ打ち止め」に向かっています。

下は9月FOMCに使った資料です。

FOMCメンバーの政策金利見通し。2022年末は「4.25~4.50%」が中央値でした。つまり、11月&12月会合で合計1.25%の利上げを見込んでいる計算です。基本線は11月0.75%、12月0.50%利上げとみられます。

ただ、9月のFOMC以降もインフレはなかなかピークアウト感がでず、利上げに積極的なFRB高官の発言も多かったことから、12月も0.75%利上げの可能性が意識されています。

通常の利上げは0.25%ずつなので、「0.50%」となっても大幅利上げではありますが、6月から続いてきた0.75%利上げより幅が小さくなれば、意味合いは大きいといえます。市場ではこのことをpivot(軸の旋回)とも呼ばれます。その次の2023年2月の会合で0.25%利上げとさらに幅が小さくなり、利上げ停止に向かう可能性も視野に入るでしょう。

利上げ見通しを少し大きくします。

みてのとおり、2022年は非常に急激な利上げとなりましたが、23年の早い時期に利上げは打ち止めになるとみられています。そのときの金利水準がターミナルレート(終点の金利)と呼ばれています。

いまの市場の織り込みは5.0%前後です。今回のFOMCでこの見通しがどう動くかによって、株価や為替も左右されそうです。

◆ 声明も会見も重要

仮にFRB内で12月に利上げ幅を縮める意向が強まっていれば、声明にそのことをにおわせる修正が入るかもしれません。また、パウエル議長会見では記者から12月以降の政策運営に質問が相次ぐとみられます。これに対し、パウエル議長がどこまで具体的な青写真を伝えてくるかがポイントです。

PCE、CPIなど物価指標はコア(食品・エネルギー除く)でピークアウト感はでていません。しかし、インフレが和らぐ条件も増えています。

エネルギー価格は一時期より下落しているほか、住宅価格も今後は物価指標への寄与が和らぐとみられています。物流混乱は改善の兆しがあり、7-9月は賃金上昇圧力も少し和らぎました。インフレや利上げの結果、景気減速感が強まってきたこともインフレを和らげる要因です。

FRBはかねてインフレ退治へ強い姿勢をみせてきましたが、上記のようなインフレが和らいできた要因を踏まえれば、利上げペースを少し落としてもいいというニュアンスが出てくる可能性もあります。

10/21にはThe Wall Street Journalが今回のFOMCでは「12月に利上げ幅を縮小する案について発信すべきか、するならどのようにすべきか、議論しそうだ」と伝えました。筆者のNick Timiraos氏はアメリカを代表するFRB担当記者で、彼の記事には市場の注目も高く、この日はこの報道で長期金利が下がり、株価が上がりました。「利上げのペースダウンを議論する時期が近付いている」というニュアンスの発言をするFRB高官もでています。

◆ 長めのチャートを

少し俯瞰もしておきましょう。

過去20年の政策金利の推移です。過去の利上げ局面は0.25%刻みでした。今年の利上げがいかに急激だったかよくわかると思います。

スピードだけでなく、金利水準も重要です。景気を熱しも冷やしもしない「中立金利」は2%台とみられています。コロナ後はゼロ金利だったので、それだけ景気を刺激していたわけですが、今年は一気に中立金利を抜いて、ブレーキをかける金利水準となりました。

強いアクセルから急ブレーキをかけた構図です。これから経済活動の節々でいろんな影響が出てくることになります。金融政策が実体経済に影響が及ぶのには時間差があるとされますが、最初の利上げから9カ月ほどとなり、しかも急激な利上げだったので、実体経済にもかなり影が伸びてきています。

◆ マーケットは?

下記の通り、ことしは株価と長期金利の逆相関が鮮明です。インフレ、利上げ観測が強まるとともに、株価に下落圧力がかかりました。いまは米長期金利が天井に近づいているとの見方も出ており、株価が底入れを探る機運もみられます。ただ、インフレが本当に落ち着くのかは読みづらく、明確な転換にはいたっていません。

ドル円も米長期金利と連動しています。日銀が金融緩和を続ける構えなので、米金利の上昇が日米金利差の拡大をもたらし、円安ドル高につながっています。最近は日本政府による円買い介入の影響で円安に歯止めがかかっていますが、根本的には日米金利差が効いています。

金利、株価、為替とも、今回のFOMCに市場の注目が高まっています。当日は日本は祝日の未明となりますが、noteですばやく、わかりやすく解説します。

◆ 最近入会された方へ


10月以降も多くの方に入会していただいています。FOMCを理解するにあたって、下記の記事も参考になると思いますので、あわせてご覧ください。すでに読んだ方も復習用に流し読みされると、改めて頭の整理になるかもしれません。


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