見出し画像

FOMCスピード解説 米株急上昇

退職後、初

日経を退職し、フリーになってからの初めてのFOMC(米金融政策会合)でした。YouTubeのFOMC解説も初めてで不慣れな面があったのと、GW中ということもあり、いろいろバタバタ。しかしなんとかAM7:00台にYouTubeをアップできました。次回はもっと効率的にまわせると思います。note版も次回はもっと早く載せられるようにがんばります。

https://www.youtube.com/watch?v=96m5C0YjGtk&t=634s

米国株 急上昇

本題の前に、きょうはまず株価をおみせしたほうがいいでしょう。

5/4の日中の動き。14:30のパウエルFRB議長の記者会見が始まってから勢いよく上昇しました。ナスダックもS&P500も終値は3%高と急上昇しました。

パウエル会見、どの発言で?

ひとことでいうと、次回6月FOMCで、0.75%利上げに慎重な姿勢をみせたことが市場を動かしました。下の2枚をごらんください。

メインシナリオとして、6月FOMC, 7月FOMCの利上げ幅は0.5%とする方向を示しました。もちろん、今後の経済、ロシア、金融などの情勢次第で判断は変わります。ただ、市場では6月の0.75%利上げが強まっていただけに、「FRBはそこまで金融引き締めに積極的ではないのかも」との見方につながりました。

ほかの市場も

2年債はざっくりいえば「今後2年間の政策金利の平均」に近い数値です。それが会見後、大きく低下。市場の利上げ予想が弱まったことがわかります。

ドル円は2年債とほぼ平行した動き。最近までの円安ドル高は「米金利上昇」「日本の金利は日銀の緩和であがらず」の2つの要因で金利差が開いていたため、高金利のドルに資金が向かっていました。この日は米金利が下がったため、巻き戻しで円高・ドル安に転じました。

もうひとつ、ビットコイン。年明け以降、米国株とビットコインは似た動きをしていますが、この日も一致。金利低下でリスク資産を買おうとする動きが強まり、大きく上昇しました。

FOMC もう少し詳しく

5月のFOMCの決定事項はサプライズなしでした。0.5%の利上げや資産圧縮のペースもほぼ織り込み済み。会合前から、6月以降の政策運営のスタンスに関心が集中していました。

上記のようにインフレへの警戒を強めています。もともとインフレは①強い需要、②人手不足・賃金上昇、③物流混乱・材料不足、④資源高――などが影響していました。そこへロシア・ウクライナ情勢で資源価格が一段と上昇。さらに中国ではロックダウンが広がり、国際物流の停滞が一段と深まりそうです。

このため、FRBはインフレリスクに「高い関心」(highly attentive)という文言を使い、警戒色を示しました。経済は不確実性があるとしつつも、企業部門や雇用は良好としており、金融引き締めは続けられる環境だと説明しています。

長い目では

歴史的な物価高騰のため、FRBは急速な利上げを余儀なくされています。2015-19年の利上げと比べても急ピッチです。

まだ金利水準としては歴史的に低いため、この利上げがすぐに景気を大きく悪化させるリスクは低そうです。ただ、インフレが収まる保証はなく、景気が悪化する中でもどんどん利上げを進めなければならなくなると、景気への逆風も強まります。利上げは運用マネーの縮小も招くため、株価にもネガティブに働きやすくなります。

FRBと市場の対話

FRBは物価の安定や雇用の最大化を目指して金融政策を運営しています。しかし、突然政策変更を発表し、世の中を驚かせるのは好ましくありません。株価や金利が乱高下すると、経済に悪影響を与えるためです。

このため、FRBは最終的に政策を決める前に、自身の景気判断や政策運営の考え方を市場に丁寧に説明しようとしています。講演や記者会見、議会証言、議事要旨などがそうした経路です。

今回の0.5%利上げがノーサプライズだったのはこれまで講演などでその方向性を説明してきたためです。言い換えれば、6月以降の政策は地ならしが不十分でした。会見で「6-7月も0.5%がメインシナリオ」としたことで市場の見方が修正されたことになります。

FRBと市場の見方がある程度近づいても、6月の政策判断が実際にそうなるかはわかりません。ウクライナ情勢が急変するかもしれません。原油や株価の動きも読めません。肝心のインフレや雇用も経済指標が続々と出てきます。

こうした外の材料が加わる中で、再びFRBと市場の間でコミュニケーションが回り、徐々に次の金融政策の織り込みが進んでいきます。このため、米金融政策を占うためには経済指標はもとより、金融市場や地政学など様々な材料に目配りする必要があります。

FRBの金融政策は米経済だけでなく、世界の金融市場や景気も左右します。FRBが今後、政策をどう運営するのか、引き続きTwitter, YouTube, noteでお伝えしていきます。

【お知らせ】無料期間、延長

noteの投稿、「5月からの課金」をお知らせしてきましたが、5-6月も無料で続けます。理由は2つ。

【理由①】


4月はバタバタしていて、noteをあまり投稿できず、購入をご判断していただけるほどのサンプルを届けられていません。5-6月はもっと投稿できると思います。いましばらく、サンプルをご覧いただいて、7月以降にご判断いただければと存じます。

【理由②】


note社が夏にメンバーシップという新しいサービスを始めます。

月額固定プランで、マガジン・掲示板など様々なコンテンツを発信するプラットフォームになるそうです。noteのご担当者さまとも相談し、基本プランは月額500円で、夏のサービス開始とともに始めようかと検討中です。以前、マガジンは300円を検討としていましたが、5-6月分を無料にすることと相殺する形でご理解くだされば幸いです。

詳細が固まりましたら、またご報告いたします。引き続きよろしくお願いします。

2022年5月5日 後藤達也

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?