見出し画像

Glider: Spectrumation 私的ライナーノーツ③  恋のラウンダバウト

ROCK’N’ROLL GLIDER!と呼ぶべきこの曲、アルバムからの先行配信第3弾として発表されている。ジャケ写の所為でラウンダバウトと言うよりメリーゴーラウンドのイメージが強くていかん(苦笑)。あ…そうか、もしかしたら「(メリーゴー)ラウンダバウト」なのかも知れない!(笑)

先月だったかな、彼らのホームグラウンドとも言うべき熊谷のモルタル・レコードでの弾き語りでマサハルが演奏したのを先に聴いていたが、ここまで性急でソリッドなロックンロール・チューンになっていたとは驚きだ。

GLIDERのレパートリーとしては、ここまで正面切ったロックンロール・ナンバーは案外珍しい。咄嗟に思い出すのは、でいとりっぱー時代の”What’s Your Name”くらいで、セカンド・アルバムの1曲目の「飛行少年」にしてもあからさまなロック・ソングではあるけど、ロックンロール・ナンバーとは違う。それを一発で色付けているのが、何よりもこのビートだ。楽曲は60年代を連想させるものがあるが、このビートのおかげであまたある60年代大好きバンドとは一線を画す2020年型サウンドになっている。

リリース後のツイッターでマサハルが「曲作った瞬間にだけある、デタラメで最高なあのノリを失っていないという、奇跡の2分45秒」と言えば、ユウスケは「レコーディングで試行錯誤したキックとスネアの絶妙なタイム感がNAZZっぽくてキマってる」と一見矛盾するような発言をしているのが興味を惹かれるが、「デモこそ最高!」を豪語してはばからないマサハルらしい初期衝動を保ったまま、いかに笑っちゃうほどの極限まで持って行くかと言う試行錯誤を繰り返したのだと妄想する。

もうひとつ特筆すべきは、所謂、ギターソロがない。イントロのギターリフを4回繰り返すだけだ。そして全編を埋め尽くすストーンズ由来のロックンロールのマストアイテムであるマラカスとおぼしきパーカッションがすべてが渾然一体となってリスナーを急かす効果を上げている。あ、そうだ。それなのに「おい!(2回目は呼び鈴のチン!と共に)」とは言うが、絶対シャウトしないヴォーカルも奇妙だ。そしてここだけは60年代丸出しで「ラウンダバウ〜」を繰り返して2分45秒はあっと言う間に終わる。

https://music.youtube.com/watch?v=iDznzMF5kTo&list=OLAK5uy_lS8yvdWUEbc-VF8x9RpRz7Z4QvFiGVglE



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?