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Dolphin Saneリスニングメモ(初稿4)

5曲目の「予感飛行」について書く前に、栗田兄弟がやっている「衛星派」というラジオ番組に触れておこう。

水曜夜8時半から、彼らの地元さいたま県の本庄FMで彼らが最近耳に留めた曲やお気に入りの曲を、ゲストを呼んだりして喋りながら紹介する番組だ。その時間帯、なかなか都合が合わなくて、しかもリアルタイムの放送しかしないから、なかなか聴けなくて、僕にここでその番組を紹介する資格はないのかもしれないが、Spotifyにプレイリストがあるからそれをチェックしてみると、例えば今出ている4曲を聴いてみると、そこにまさにDolphin Saneと共通した匂いを感じ撮ることができる。それらはいずれも最近リリースされた最先端のナンバーばかりで、Dolphin Saneもそういった音楽を志向しているのだな、というのがわかる。面白いと思ったのはその4曲はどれも兄弟がソロアーティストによるものだということだ。その4曲はカナダだったりUSだったりオーストラリアだったりするので、一時は南米、ブラジルに飽き足らず、中東などの曲もかけていたようだから、洋楽の新譜から遠ざかってしまった感のある僕の最近のリスニング志向に対して、英語圏にすら面白いアーティストはたくさんいますよ(笑)と言われている気がした。

ところで、この「衛星派」というタイトルだが、まぁ番組が始まってからもう随分になるのでいまさらだけど、やはり強烈に思い出すのは「衛星グッバイ」であり「衛星アムートゥ」だ。前者とはライヴで出会ったが、「♫公衆便所を飛び越え〜」となんとなくしかしそれ以外には聞こえない歌詞に耳を疑って、隣にいた友人に「いま、公衆便所って歌ったよね?!」と尋ねてしまったくらい驚いたものだ。そんなショッキングなナンバーでのタイトルに使われた「衛星」であるが(「衛星グッバイ」は”I say Good-bye”のダジャレ〜ヌーヴォーと思われるが)、昭和の昔から「埼玉(当時は漢字)は東京の衛星都市」というのを思い出し、それがゆえに「俺たち衛星都市出身〜!(笑)」と宣言しているようで、実は僕も埼玉出身なので、親近感と微笑ましさを感じたべぇ。

さて、前置きがチョー(ここはやはりカタカナだろう)長くなってしまった。「予感飛行」である。すぐに「夜間飛行」を思うよね。僕にとっての「夜間飛行」はタイトルだけはサン・デグジュペリなのだが、将治にとってはぜんぜん違うかもしれない。だがしかし、導入部で、Cmaj7を単に鳴らすだけでは飽き足らず、分解し、音を追加し、漂わせる、これはまさに夜を飛んでいくイメージなんだなぁ。そして不可解な音階にマリンバのような楽器が加わると、「銀河鉄道の夜」で言うところのアタゴオルへ心が飛んでいく気分になる。そして、特筆すべきは、中間部のギターソロが消え入りそうなメロディを奏でるところで、この曲を支配しているメイジャーセヴンスや突然のマイナーコードとも合わせて、将治の音楽的成長を感じさせる。

ゆったり歌われる歌詞に目を通すと、風とともにどこからともなくやってくるトキメキの「予感」を感じるが、そうか、「恋のバネ」といい一曲目の「微笑み」といい、このアルバムは全体を通して、Love song志向なんだなと言うのを少し発見したところだ。

次回は、タイトルソングでもある問題作、Dolphin Saneに進みたい。
(続く)






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