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Glider: Spectrumation 私的ライナーノーツ⑩ スペクターズ

ついにこの私的ライナーノーツもオーラス(おっと、いきなり麻雀用語!)、大団円。ファミコンで言えばボスキャラ、”Revolver”で言えば”Tomorrow Never Knows”、大物「スペクターズ」の登場だ。

スペクターズと言えば暴走族を連想する程度の知識しか持ち合わせていないが、調べると「幽霊」「亡霊」とある。マジか…。そもそも”Spectrumation”と言うアルバムタイトル自体、”Spectrum”つまり「目の残像」「連続するもの」と言うことでジャケ写はぴったりなのだが、蜃気楼のような曲群を締め括る一曲が亡霊であっても僕は納得する。

この曲、かなりのビートルズ・マニアならイントロの繰り返し(しつこく繰り返される「シーッ」と言うのはどうやらページをめくる音らしい)の後、サウンドが厚くなるところでその下降するコード展開とともに”Magical Mystery Tour”収録のあのドラッグナンバーを思い出さない訳にはいかないだろう。ビートルズ、とりわけ、ジョン・レノンに心酔するミュージシャンなら一度はやってみたいオマージュだ。意外にもGLIDERにとってそれは過去にはなかったものだ。

中間部、新村哲也くんの「あすなろう」全盛期を思わせるメロディと歌い方が出て来るのが面白いが、それを受けての畳み掛けるサウンドの波は圧巻である。ここは攫われてしまおう。マインドを解放するのだ。

…そしてイントロから持って来たような鍵盤による確信に満ちたそれこそトンネルを抜けたがごとくのちょっとアジアンなフレーズを経て、アルペジオで曲は終わる。大団円にふさわしい見事な締め方。果たしてスペクターズは現れて消えたのだろうか、それともいつも僕らの周りに漂っているのだろうか。

スペクターズはここで聴けます。

https://music.youtube.com/watch?v=tD67_xE9GMs&list=OLAK5uy_lS8yvdWUEbc-VF8x9RpRz7Z4QvFiGVglE





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