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CBS機材通信 私的ペダル大賞2021

FUZZやディストーションのペダルでギターをグワーッと歪ませると、ピックが弦を弾くような成分、言い替えると「芯」がなくなってしまうことがある。そういう問題に対処するために、録音時に行ってきたのはアンプ2台を同時に鳴らすということだった。チャンネルセレクターでスプリットして1台はクリーントーンのアンプにつなぎ、もう1台のアンプでディストーションサウンドを作って、それぞれのアンプに立てたマイクの音量で粒だちの加減をコントロールしてきた。

ただ、このやり方だと位相の問題が生じる。アンプルームで2台のギターアンプが鳴るので、それぞれのマイクから集音された音が干渉し合う。ゆえに、セッティングに時間がかかるという難点があった。

また最近では、アンプの前に立てるマイクを増やしたり、アンビエントを収録するマイクを使ったり、使用するマイクの本数が増えた分、エンジニアリング的な音作りの難しさが増していた。

そうした問題の解決に役立ったのがこのペダル。今年買った機材のなかで最も役に立ったと言える。

むちゃくちゃよくできている。歪み系のいくつかのペダルは、位相が反転して踏んだ瞬間に引っ込んでしまうことがあるが、このブレンダーはスイッチひとつで解消できる。ハイパスとローパスのフィルターもとても良くて、例えば、残響音の高音域だけを削って遠目の音にしたり、ディストーションの高域のピークを調整しながら耳に痛くないラインを保ちながらパリっとさせたりと、「アンプやペダルの設定を変えずに、あと少し微調整ができたらいいのにな」に手が届く。

むちゃくちゃな歪みを作ること、アタックをキープすること、その間で多くのギタリストやエンジニアが揺れ続けていると思うのだけど、着地点を見つける一助となる優秀なペダルだと思う(LINEで録った音とプラグインを使えばいいんだけど、なるべく生音で着地したいもんね)。

本当に重宝している。

(タイアップで書いてる記事ではないです。笑)