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データ利活用構想を立てる上での考え方 メモ

企業のデータ利活用戦略を策定するにあたり何を起点に考えていくかがちょっと難しかったため、次回策定する機会があった際に困らないようにその要点を抽出して整理しました。

自分用ですが、もし参考になれば!


1. はじめに

デジタル化の進展と市場環境の急速な変化に伴い、あらゆる産業においてデータ利活用の重要性が高まっています。効果的なデータ利活用戦略の立案と実行は、企業の競争力維持と成長に不可欠となっています。本記事では、企業や顧客が直面する課題から出発し、それらの解決に向けたデータ利活用戦略の立案と実行に関する重要な考慮点を体系的に整理します。

2. データ利活用戦略の基本的な考え方

企業の価値創造とバリューチェーンから始める

データ利活用戦略を効果的に立案・実行するためには、まず企業の価値創造プロセスを深く理解することが重要です。この理解を助ける有用な枠組みとして、バリューチェーンの概念があります。

バリューチェーンは、企業が製品やサービスを通じて価値を創造し、顧客に届けるまでの一連の活動を表現したものです。これを理解することで、以下のような利点が得られます

バリューチェーンを理解する利点

一般的なバリューチェーンの構成要素として、以下のような活動が挙げられます:

  1. 研究開発:新製品・サービスの企画、設計

  2. 調達:原材料や部品の調達、サプライヤー管理

  3. 生産・オペレーション:製品の製造、サービスの提供

  4. マーケティング・販売:市場調査、広告宣伝、販売活動

  5. アフターサービス・サポート:顧客サポート、保守、アップグレード

  6. 管理・バックオフィス:人事、財務、IT、法務など

これらの要素は、業界や企業の特性に応じて異なり、より詳細化されたり、異なる要素が追加されたりすることがあります。

データ利活用戦略を立案する際には、このバリューチェーンの枠組みを用いて自社の価値創造プロセスを分析し、各活動におけるデータ活用の可能性と、それが全体の価値創造にどのように貢献するかを検討することが有効です。これにより、単なる「データ利活用」ではなく、「価値創造のためのデータ活用」という視点で戦略を構築することができます。


データ利活用の目的を明確にする

バリューチェーンの全体最適の目線は非常に重要ですが、データ利活用を進めるには、多くの人的リソースが必要です。データ利活用の目的を明確にすることで、より焦点を絞った戦略立案が可能になります。一般的に、以下の5つの目的が考えられます:

  1. 意思決定プロセス改善

  2. 顧客と市場の理解

  3. より優れた製品・サービスの創出

  4. 業務プロセスの改善

  5. データの収益化(これはデータ利活用段階が進まないと難しい)

これらの目的を念頭に置きながら、特定された課題に対して、バリューチェーンの各段階でのデータ利活用案を検討することが重要です。


3. データ利活用戦略策定のステップ

データ利活用案出し

とにかく数を出します。

バリューチェーンへデータ利活用案を紐づけ

バリューチェーンの各段階において、データ利活用が価値創造にどのように貢献できるかを検討することで、データ利活用の全体最適が可能になります。以下に、各段階でのデータ利活用の可能性と、それによって期待される価値創造の例を示します。

各バリューチェーンのデータ利活用案例

データ利活用案のアクションプランの検討

データ利活用案を洗い出した後、何を重点的に行なっていくかを決める必要があります。重点的に行なっていくテーマを決めるための判断軸を定めるためにも、それぞれのデータ利活用案に対して以下の9つの項目を具体的に洗い出すと良いでしょう。

  1. 対象の企業戦略目標

  2. データ活用の背景 / 目的

  3. データ活用の成功基準とその指標

  4. ビジネス課題

  5. 顧客(データ利用者)

  6. 必要なデータ・不足データ

  7. アプローチ(データ分析手法等)

  8. データガバナンス

  9. 判断基準(例:ビジネスインパクト、取り組み難易度(分析・データ収集・実務への落とし込み))

データ利活用構想への落とし込み

データ利活用を通じた価値創造を持続的に行うためには、短期的な成果(クイックウィン)と長期的な変革のバランスを取ることが重要です。まずは短期的な成果を出し、現場や経営層を納得させなければ、中長期的な取り組みが行われません。とはいえ、データ利活用を個別最適で運用しても成果がさ最大化されないため、クイックウィンと長期的な変革をバランスよく入れて下さい。

※ 今回はあくまでもデータ活用構想のみに終始するため、データガバナンス、データ基盤、人的リソースと組織については触れません。(というか分かりません)しかしながら、戦略全体のロードマップを引く際には、その3つがないと始まらないため、そちらも必ず検討してください。

メモ

データ活用戦略だけでなく、組織内の従業員やキーパーソンの認識をどのような順番でどのように変えていくかのロードマップとなる「データ利活用パーセプションフロー」とセットだとさらに良いかも

まとめ

データ利活用を全社に広げるのは難しいですが、広がった際のビジネスインパクトは大きいです。ボトムアップ的なアプローチとトップダウン的なアプローチを上手く使い分けながら、組織への文化浸透を目指していきたいものです。


直近、画像生成AIで商品画像をクーポン画像に自動変換するプロジェクトに個人的に取り組んでましたが、それなりに形にはなったため記事化しようかなと思います。またAIエージェントやRAG、データ分析の記事も積極的に書いていきますのでいいねとフォローお願いします!

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