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たそがれ

すのこ板が、上靴にはさまりそうになり
ジャンプ。

アルバムが出来て…
寄せ書きは、泣きそうになる。

保健室で、泣いたから
友達が、心配して来てくれたから。


教室の黒板が賑やかで…
チョークの文字に、泣き。


窓越しに見ていた、広いグランド
友達が、気付いて手をふってくれたから。


教室をあとに、最後のドアを
木製のおんぼろのドアを閉めて…


あの子とあいつが、話してためったに通らない、階段。

いつも、空席の机。

雑誌で女子が生まれていく。

部活の準備は、かけ足。

冷水機は、凹みながらも美味しい。

先生…ごめんね、ありがとう。


大人になりたくて。
早く、大人になりたかった。

泣いている姿を、強く隠した学生時代。


何もかもが、言えずに。
何もかもが、幸せではなかったけれど

何もかもが、大切な三年間だった。
通知表には、書かれていない


大人になれば…
おさがりなんかじゃなくて、自分の物を。

大人になっていくと…
連絡は、なくなり

大人になったら…
空気をまた、よむことが、多すぎて。


だけど

あの頃に、戻りたいとは、思わずに。


知りゆく、知識は、ゴミになると。

時代の速さに、老化は疲れ果てて。


若者も、大人も、子供も、みんな

命。

1つ、1つの命が、一人、一人の時を
生きていて。

たそがれて、トレンチコートが似合ってきた

たそがれて、手ぶらな姿が、似合ってきた。

※この物語りはフィクションです。