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シャバで待ってる3つのタイプ

2015/1/11 記
 懲役がやっとの事終ってシャバに帰るとサ。俺を待ってくれてる人たちにはきっちり3つのタイプが居るんだよ。
 ひとつ目は、何も言わずに頑張れと金を投げてくれる人。
 プレッシャーを与えずイチから出直す俺に対しての心遣いの暖かさを感じる。
 こういうタイプの男になりたいと俺も心掛けてるよ。でもなかなかそうはいかないな。

 ふたつ目は、金も出すけど小言も言う人。
 どうしてもひと言、言わないと気が済まないのだろう。でも、小言なんかより人生やり直す軍資金も必要だろうと、そこまで深く考えて金も投げてくれる。小言も俺の事を思っての事とありがたく聞く気になる。

 そしてみっつ目が金は出さずに口だけ出す奴。・・・これがうざい。
 会社にも居るよネ。必ず仕事に口出してうるせェくせに一切金はださねェ・・・って。
 ちょっとした役職のある奴に多いよ。
本田宗一郎も松下幸之助も、資金は惜しみなく研究員に与え、作業には一切口は出さなかったというが、
 そんな大人物とは真逆の男が俺の身近にいる。ばったり出くわせば、チャンスとばかりに講釈たれやがる。
 俺は帰った時にこのタイプが一番うぜェ。
 人生全て失って帰って来て、再スタートするこれからって時に、そういう奴はきまって過ぎた事をグズグズ説教し始める。
 2人きりの場を作ってする話なら真剣さも伝わるが、他人の前で話す事で悦に入るのだから俺の面目なんて考えてるわけねェよ。
 ひとに恥掻かせても何とも思わないんだろうな。
 またそれに輪を掛けるのも居る。
 最後は自分の自慢話をしだす奴だ。
 今、人生のどん底に居る俺と自分を比べて偉そうに言い出す。
 もう初めから聞く耳を持たないんだよ。そういう奴の言う事には。
 でも今回は本気に生きるからな。必ず、必ず数年後に俺はそいつらに少々高い所から説教たれてやる。勝負だ。俺は執念深いのだ。

PS
このいつもうるせえ、説教と自慢話の好きな先輩が、もしまた同じこと行ってくるようなら、

「俺がシャブでパクられて、お前に何か迷惑かけたか」

やってやるつもりだったが、今回は様子が違った。こんな話を聞いた。
 5つ年上の先輩だが、俺の同級生の女と付き合いしてた。

「今は俺の女だ。ちょっかい出すなよ」

とかなんとか言ってたが、なんとこの男、年はもいかない娘にも手をつけた。
 女も怒って別れてるらしいが、警察に訴える事で娘の人生にミソがつくこと心配して悩んでるらしい。
 訴えられたら一殺懲役だ。
この間、針の筵だったろうよ。
 警察に連れてかれる前に、探したんだが会えなかった。

「俺のことをみんなに迷惑かけてると言ったが、誰に迷惑かけたのか言ってみろ。
 偉そうに言ってたお前は、子供の将来を変えてしまうほどの傷を与えたんだ。同じ犯罪者で捕まるやつと助かる奴はいる。
果たして覚醒剤のオレと今回のお前では、どっちが人間やめるべきなのかな」

と、一言どうしても言いたかったんだ。オレは執念深いからな。
 でもまたパクられて、そんなこともできなかったのが現実だ。

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