何に向かっているのか(俺の獄中絵日記月形編最終回)
2015/1/12 満期日 記
長い長い懲役生活の中ではオヤジの訓辞を数限りなく聞いて来た。
その度ごとに、良い話というのはうなずけるもの有るんだけど、どれもこれも、そのうち記憶の中からうすれていってしまうものだ。
だけどひとつだけ、ずっと心に残ってて、事有る毎にそれは俺の頭に出て来るものが有る。
それは話じゃなく言葉なんだ。府中の時に、俺が降りた工場ですぐに転勤になって居なくなった副担が、最後にあの刑務所特有の、職員の送別セレモニーの中で話をしてたオヤジのセリフだ。。
短い間で世話にもなってない俺は、あのセレモニーがバカらしいので話も聞いちゃいない。だけど話の中で
『自分が何に向かっているのか・・・』
っていうセリフだけ鋭く俺の脳につき刺さったのを感じた。
『自分が何に向かって生きているのか・・・』って?・・・うん。そう考えたら何だろう・・・って
はっきり答えられない自分が居たんだナ。
俺が成りたいものって・・・一体何だったのか。
目標って何だったのか。
中には若いうちからそれが明確で変わらずひと筋に頑張ってる奴もいるのに
俺はそれが何かも判らず40年以上生きて来たのかって・・・。
じゃあ今は判るのかと言われても未だ答えられない。
一生答えられないまま人生の幕を閉じる人もやっぱり居ると思う。
だから俺はそんなに先でなく、どちらか迷った時は
『どっちが俺が向かうべき方向に大切なのか』
と問うようになった。
にもかかわらず今回、薬を手にしたとき『ひともうけしてやる』と考えてしまった。違うよね。
薬に関わる事は
『刑務所へ向かう事』
に他ならない。何に向かってるか明確でなくとも刑務所へ向かってしまう事だけは確かだ。
自分が何を選びながら生きて行けば良いか・・・。
もう間違えないよ。
PS
まただよ。
いつもかっこいいことばかりいってやがって、何一つできない俺め!
(写真)
今日、初の岩盤浴に行った帰り、味噌ラーメンを食った。
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