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本当の友達って

2014/12/29 記 

 ジャンキー列伝3日目は、シャブのよれは伝染するという話。
 どんなやつにシャブを教えられたのか、その師匠のタイプが弟子には伝染する。
 すぐに日曜大工を始める様なのに教えられると、あちこち工事を始めるのがクセになって、テレビやビデオを分解したりが止まらなくなる。
 警察を怖がっているやつに教われば神経質になる。
 要は、薬をやるともう一つの何かとセットになる。
 オナニーに耽るくらいならいいがセックス教えられた女はもう男とセットになっちゃっていい話はきかないし、ひどいことになってるのもたくさん見てきた。
 シラフでセックスするのが物足りなくなるんだね。
 痴漢や覗き、盗撮から露出、住居侵入から窃盗に走り、捕まった時は別の罪名がくっついてきてしまうのだって多いよ。 
 これはみんな覚えた時の癖がづっと付いてまわってるのが多いね。

俺の学生時代の友人、上野はヤクザになった。
 上野には幼馴染の連れがいて2人で同じ組に入ったのだが、その連れは初めて覚醒剤をやったのが小学生の6年だった。過剰摂取で失神し、気がついた時は病院で点滴を受けていた。やつはそういう覚えかたしたのでぶっ倒れるほど打つのがいいと思い込んでいる。危ないよ。
 ある日、派出所に飛び込んで意味不明なことを言って逮捕された。
 連れの、そんな姿を見ているから、上野は薬が大嫌いだ。
 最初はその連れと2人、薬を扱わされていた様だが、上野は組ごとで体をかけて長い懲役に行った。
 その後その連れの方とは付き合いがあったが、またしても派出所へ。
 今度は刃物を持って飛び込んだ様でその後のことは知らない。
 上野が帰ってきて、聞いてみると彼も行方はわからないという。
 幼なじみ2人でヤクザになって、一方は懲役帰りでいいアニキとなり、もう一方はシャブで行方さえ知れない。
 昔、上野のコネで覚醒剤を安く仕入れてくれと頼んだ時、あいつは金を誤魔化す様な真似はしないと言わんばかりに俺の前で先方に電話した。
 さすがにいい条件で話がまとまったので、明日、上野の同行で先方に赴くこととなった。
 すると、上野は当日ドタキャンの結末を連絡してきた。
 先方の都合ではなく、上野自身の気が変わったのだ。

「ゴドー、やっぱりシャブはダメだ。それ以外のことだったらなんでも協力する。時代遅れのことはやめろ」

あの時、なんだこの野郎ふざけんなと、頭に来て散々言ったが、今思うと、奴こそが本当の友達だったのかも知れない。

 PS
なんで俺のいうこと聞かなかったんだ。
上野はそう言うに決まってる。
 会いたくても対等な気持ちで会うことができなくたった友人が俺には多いな。
 いつの日か、同級生としての対等な立場で胸を張って合える様に頑張るとするか。おっと、
 それじゃ具体的に何から始めるのか?そこまで話を進めないと実行なんかできやしないぞ、お前は。
 まずはシャバにいることだ。
なら、そうできるためにはどうすればいいのか言ってみろ。
 捕まらないこと。
どうしたら捕まるのかは、わかってんだろ、じゃ、どうすれば捕まらないのか考えろ。
 俺の頭が随分上から言ってくる。
 商売するなら遊ばないこと。遊ぶんなら、売はやめる。
 馬鹿野郎。
だからお前は何回言っても気がつかないんだよ。
覚醒剤に関わらないことだろ。
それだけで堂々と社会の中にいられるんだ。
 ふうむ。偉そうに言いやがって、しかしもっともだ。時々注意してくれよ。俺が道を外しそうになったら。

てか、お前だれだよ。

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