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おふくろからの手紙

2014、4、7、
なんとおふくろから手紙が来た。前刑の府中の4年半も含めて初めてのことだ。手術後の経過がよほどいいのかとほっとする。封筒はづっしりと重たい。これまでの言いたいことをすべて詰め込んできた様子だ。
 手紙を開くとなんて書いてあるのかよくわからない。暗号を解読するように読み進むが、だんだん言いたいことのほうが先走って筆の運びが追い付かないのか、ただでさえ読みにくいのに暗号はもっと複雑になってくる。
 そうなんだよ。こういう手紙はイライラするから受け取らない方が気楽でいいんだ。こんなところではね。
 でも、俺もそうなんだ。手紙にしてもノートを執るにしても、書き出しと終わりでは丁寧さがまったくち違う。これはよくないと分かっているのに治らない。
 これ、おふくろに似たんだね。
 親父は、はいつまでやってんだよって言うくらい最後まで手を抜かない丁寧なひとだった。
 それを、早くしなさいよ。準備が長い。まだやるのか。早く片付けろ。と、脇でうるさかったのがおふくろだ。
 知らないうちに、おふくろからうるさく言われないよう、内容より早く済ますことが大事にになってたのかな。
 ああ。おふくろ、変なとこが似ちゃったよ。解読不能の手紙が頭に来るので「何を書いるのか、手紙は全く読めず、帰ってから詳しく話を聞くよ」って文面だけの手紙を出してやろうとすぐ準備した。
準備したが30分。30分待って深呼吸。そんなことに腹を立てて、まだ甘えてる証拠だな。おふくろが手紙を書けるようになっただけでも進歩だろ。
 冷静になって今はそのことだけ喜ンでればいいんだ
 それも愛情だ。


手紙ありがとう。発信。

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