言えないよ
2014/6/6 記
作業事故の連鎖は今も続いている。
無事故達成日数を掲げた看板に10日以上の数字を見ることはない。
そして今日もまた、数字がゼロになったところでオヤジの訓示。
月形刑務所の作業事故件数は現時点で昨年の5倍と増え続け、刑務所側は何をさておきこの事故をストップさせることに必死だ。
上からの命を受け、何が何でも事故は出させないのだと。
そんな中、俺のいる6工場は危険な機械の多い中、まもなく1000日の無事故記録を達成しようとしている。このことを副担は、ことあるごとに話に出してはご満悦の様子。
これは全国の刑務所から見ても類を見ないことであって、オヤジも鼻高々なんだろう。
だからこそ、絶対に事故は出させないと口を酸っぱくして話をする。
そりゃあそうだよ。1000日と言ったら3年以上も無事故は続いているのだから、小さな怪我でその記録をパーにされたら怒り爆発だ。
そんな中、昨日起きてしまったよその工場の事故は、ゴミを捨てるために持ち上げた箱が、近くで作業していた班長の目尻を切った。
場所が場所だけに出血したらしく、作業仕事にあいなった。
オヤジが言うにはこうだ。
「怪我をした班長、せっかく3年無事故章つけて、工場ではいいポジションにいたのに取り調べとなった」と。
タイミング悪くただ横に居ただけなのに刑務所側には、注意してなかったあなたが悪いんですよね。指示違反です。
ということにされる。
まあ、工場がこれだけピリピリしているおかげで今日、スポンジサンダーで謝って爪の中まで削ってしまった若いやつは、カット絆ももらわず我慢したらしい。
わかるよ。そりゃあ言えないよ。
PS
痛みに弱い俺。
あれが俺だったら、誰がなんと言おうと医務に行く。だろうなぁ。
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