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人形の家

2014/8/17 記
 お盆の連休も最後なので、不思議体験をもうひとつ。
 16歳の夏に暴走族の集会に出るため、橋のたもとのスタンドで単車にガソリンを入れていると、大勢の人が橋を駆け上がって行くので俺も友人と二人橋の中央まで行ってみた。
 すると人だかりの中原付で事故った女の子が倒れていたが、頭が半分ないようで俺は見れなかった。
 その後事故の原因がわからないらしく目撃者を探しているとスピーカーで流しながらパトカーが近所を回ったり、しばらくの間は事故に関する情報を呼びかける看板が橋に取り付けられていた。
 
 それから冬になり、皆で行ったスキーのツアーバスの中で、夜になると、何やら怪談話しをしている女の子達の話に耳を傾けていた。
 ある女の子がこんな話をし出した。
 「私の知人で男性の先輩は、友人の女性の家にある、古い人形のコレクションのひとつを、大学の文化祭で展示したいので貸してくれと頼んだらしいの。その人の家は人形だらけで有名でかなり古いものもあって、家の中では霊的な現象がよく起こるものだから見てもらうと、人でもなく家でもなく、人形達に関わるものだと言われたらしいんだ。
 だから一度は持ち出すことを断ったらしいのだけれど先輩は人形をえらく気に入ってしつこく頼んで、半分無理やり貸してもらったんだって。
 文化祭では人形を展示して最終日が終わると人形を原付のカゴに入れて持ち主に返しに行くんだけど、途中のガーブでカゴに入れていた人形が落ちて、前輪で人形の顔を轢いてしまったんだって。
 台無しになってしまった人形を持って随分謝ったって言ってた。
 持ち主は許してくれたけど同じ日に先輩の彼女が橋の上で事故に遭ってなくなったっていうのよ。それも頭部の怪我が原因だとかって」

 俺はあの時一緒にいた友人と顔を見合わせたら、そいつは泣きそうな顔して俺をみてた。
 この時一番ビビったのは話をしていた女の子達ではなく俺たち二人だよ。
 昔の話だけどどう思う?

PS  今でも覚えてるよ。あの場面を。誰も倒れている女の子に寄りつかないから変だと思ったんだ。
それが怪談話と結びついて、驚いたのなんのって。

(帯広の帰りに温泉に入った)

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