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地伝#34 🔳2006年 サラリーマン

DJとしての収入は途絶えたが生活するために稼がなければいけない。

なんとなく儲かりそうという浅はかな動機で不動産の営業職へ飛び込んだ。31歳。

ミックステープをたくさん作ったくらいしか誇れる実績がないので面接には紙袋に過去の作品を詰め込んで持って行った。何故かそれで採用されるほどの小さな会社だった。

AOKIで買ったスーツを着てネクタイを締めて新宿まで満員電車に乗る。ありがちなサラリーマンの世界は初めての経験で、まるでTVドラマの中にいるような気分だ。

もがきながら新しい事にチャレンジするのが苦しくも楽しくて、不動産業界にいたのは3年にも満たないけど、その間に宅建も取ったりした。

朝から深夜まで一日中いつもの社員と顔を合わせる。いわゆる同じ釜の飯を食うというやつだ。皆の経歴も様々。年齢も割と近い。ヤミ金やってた奴から鞄の職人まで10人くらい。会社はとっくに消滅しているけど、17年経った今も毎年飲みに行くほど濃い時間を過ごした同僚達である。

生活は仕事中心でヒップホップどころか音楽からも遠のいていた数年だった。

しかし、、、、2009年に旧友であるポチョムキンがヒップホップの渦へ再び僕を引き戻してくれたのだ、、、!


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