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アメリカでのiPhoneの買い方 続編

はじめに

前回、Apple iPhone Upgrade Programを利用したiPhoneの購入方法について概要を説明しました。今回はその後編として、Apple iPhone Upgrade Programを利用して新機種のiPhoneにアップグレードする時の購入手順と、今まで使っていた端末の返却方法について書きます。

こうした特別なプログラムを使うと、通常の端末購入のに比べて手順が複雑になり面倒なものになりがちですが、このプログラムは実に簡単に申し込みや端末の返却ができるように設計されているので、その点について紹介したいと思います。

新機種の発表から発売開始まで

今年の新機種の発表から発売開始の流れを振り返ってみると、以下のようなスケジュールでした。(全てアメリカの日時で書いてます)

・9/10 Tue. 新機種iPhone 11 & iPhone 11 Pro/Pro Maxを発表
・9/13 Fri. 先行予約開始
・9/20 Fri. 販売開始

私の場合、新製品発表会の後、各種メディアの速報記事で発表内容の詳細を把握し、Steve Jobs Theaterに招かれた人気YouTuberのハンズオンのレビュー動画で実機の印象をチェックして、購入するモデル(機種・容量・色)を決めています。今年は人気YouTuberの方々が発表日当日に動画のアップロードをしていたので、10日中に購入モデルを決めることができました。

あとは先行予約開始を待って、時間が来たらiPhoneのApple Store Appから購入申し込みを行います。新しいiPhoneをいち早く入手したいと思う人は、開始直後に申し込むのですが、非常に競争が激しく、運が良ければ初回発送分として販売開始日に入手可能なのですが、もたついたりしていると入手まで待つ必要が出てきます。場合によっては、2-3週間待ちになるので、毎年お祭りのような騒ぎになっています。(一部の人だけだと思いますが。)

では、既にApple iPhone Upgrade Programを使っている人が新機種にアップグレードする場合はどうでしょうか?基本的には同じ手順ですが、新規機種に替える際には、再度ローンの審査が必要になります。ローンの審査は即時に結果が出るのですが、先行予約時にローンの審査の手順を行なっていたら明らかに時間のロスになり、初回出荷分を逃す要因になりますよね。いち早くiPhoneの新機種を手に入れたい人は、Apple iPhone Upgrade Programを避けるべきなのでしょうか?


Apple iPhone Upgrade Programの事前審査

このような状況をAppleは想定しているのでしょう。Apple iPhone Upgrade Programを利用している人には、先に述べた手順に加えて、事前審査というステップが入ります。これはなんと先行予約開始前から始まります!

新製品の発表会が午前中に行われた10日の午後4時半ごろ、iPhoneからApple Store Appを開いてみると、以下のような画面が出ていました。「新規iPhoneの先行予約は9月13日の朝5時から始まるけど、事前審査を今受けることができます。そうすると13日に事前予約の手順を素早く行えますよ。」

メッセージの主旨からして、Apple iPhone Upgrade Programの既存利用者に対してこのメッセージを出していると推測します。完全にこちらの気持ちを見通されてる感じです。

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まずは、アップグレードする対象になるかの確認です。前の投稿で書いたように、このプログラムは購入後12ヶ月分を支払った後でないと新規機種にアップグレードできないので、まずはそのチェックです。上記の画面で"Check upgrade eligiblity"をクリックすると、以下のような画面に遷移し、アップグレードの対象になることが確認できたことが示されます。12ヶ月未満の場合は別のメッセージが出ると思います。

次は、購入するモデルの選択になりますが、その前にいくつか注意点が書かれています。「希望の機種を出来るだけ早く手に入れたければ、9月13日の朝5時に始まる注文を完了してね」と。暗にこの事前承認のステップでは事前予約の申し込みを完了したことにはならない、ことを言っています。また、「現在手元にあるiPhoneを良い状態でAppleに返却する必要がある」、とも書いてあります。

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 "Continue"を押すと、どの機種を購入予定かを聞かれます。これに基づいて金額が算定されローンの審査が行われるためです。画面や選択できる項目は、事前予約の際のものと全く同じでした。

- iPhone 11かiPhone 11 Proか? → iPhone 11 Pro
- iPhone 11 ProかiPhone 11 Pro MAX? → iPhone 11 Pro Max
- 色は? → Midnight Green
- 容量は? → 256GB
- キャリアは? → AT&T


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ここで選んだ購入予定のモデルは、9月13日の事前予約までロックされるけど、もし変更したけば事前予約の際に変えられるとのこと。

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ここまででようやく購入モデルが決まり、ローンの対象となる金額が確定。

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続いては、キャリアの確認。AT&Tで使用している電話番号と、ソーシャルセキュリティ番号を聞かれます。入力後しばらくすると、AT&Tへの確認が取れたとのメッセージが現れます。「新規iPhoneが届いたらすぐにAT&Tにつながり、これまで通りの電話番号と料金プランが適用されます」とのこと。この辺りのキャリアとのシステム連携はよくできていますね。

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ここまでで、最初から三つの項目が完了しました。順番に緑色のチェックマークに変わっていくのでわかりやすいですね。

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ということで事前準備は完了し、いよいよローンへの事前審査の申し込みです。再びソーシャルせキュリ番号を入力後、"Terms and Conditions"及び ”Installment Agreement"への同意します。

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しばらくすると事前審査が完了し、以下の画面になります。「事前審査が承認されたので、9月13日の事前予約開始時はiPhoneのApple Store Appを使って購入を完了させてね、数タップで購入は完了しますよ。」

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 新規iPhoneの事前予約

9月13日のアメリカ西海岸時間の朝5時から事前申し込みが始まりました。最初、なかなか繋がらずバタバタとしていたら、5時5分に接続できました。その時の画面の最上段には、「iPhoneの事前予約が始まっているので、完了させてね。」と出ていました。

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"Complete your pre-order"をクリックすると、既に10日の事前審査の時に選択したモデルが出てきて、すぐにチェックアウトに進められるようになっていました。つまり、事前予約時に改めて機種・容量・色を選択する必要がなくて簡単に注文を完了できます。

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機種・容量・色には変更はなかったので、本来はここですぐに注文確定といけるところでしたが、事前審査の時から少し考えた結果、Apple Care+を紛失・盗難もサポートできるApple Care+ with Theft and Lossに変更しました。

チェックアウト時に、配送かApple Storeピックアップかを聞かれた後、いくつか同意事項にチェックをして注文は完了。簡単だと思いませんか?

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既存端末の返却方法

このプログラムを使っていると、新規iPhoneが届いた後、すぐに手元にある既存iPhoneをAppleに返却する必要がありますが、この処理も非常に簡単にできるように設計されています。

事前予約が完了した後、新規iPhoneの注文や発送状況は、iPhoneのApple Store Appのトップページ表示されるようになります。新規iPhone端末の事前予約を行う際に自動的にトレードインキットと呼ばれる返却用のボックスの注文も行われ、配送状況が2段目に表示されるようになります。

この画面は、新規iPhoneとトレードインキットが共に配達された後のステータスの表示です。「トレードインするiPhoneをAppleに返却する時がきましたよ。」と3段目に返却を促すメッセージが出ています。

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配達されたトレードインキットのボックスというのは、シンプルな小さな箱です。返却するiPhoneから全てのデータ削除とリセット後、iPhone本体を内側の白い箱に入れて、外側の箱をとじて付属しているテープで止めるだけです。チャージャーやケーブル類は送らなくていいことになっています。

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後はこの箱をFedExに持っていくだけで完了です。Apple側で受け取り後、検査を行い問題なければ、トレードインが完了したと数日後にメールがきます。

そういえば、2年くらい前にこうしてFedExにトレードインのボックスを持ち込んだら、FedExの人から「最近この箱を持ち込む人が多いんだけど、一体何なの?」と聞かれたことがありました。シリコンバレーエリアだとこのプログラムを使っている人はそれなりにいるのかもしれませんね。

最後に

今回は、Apple iPhone Upgrade Programでの新規端末の購入方法と既存端末の返却方法について説明しました。長くなりましたが、iPhoneのApple Store Appにシステム的に統合することで、シンプルで簡単な手順になっていることをご理解いただければありがたいです。

こうした特定のローンプログラムでの購入は、例外的な手順として扱ってややこしいことになりがちだと思うのですが、そのようなことを全く感じさせることなく、むしろ本流の購入手順にと同じように自然な形で誘導されていくエクスペリエンスは、さすがAppleだと思いました。

見方を変えると、もしかしたらAppleはこのApple iPhone Upgrade Programでの購入方法を広めたいのかもしれません。毎年アップグレードをするユーザが増えれば、彼らの考えるiPhoneの利用方法を体験できる人が増えるし、毎年の販売台数も伸びるでしょう。加えて、Apple Care+の売り上げにも貢献しますね。

アメリカで暮らしているとAppleに限らずこうした合理的な考え方で設計されたシステムに出くわすことがよくあります。無駄や複雑な部分を削ぎ落としてシンプルで簡単な手順やワークフローにすることを追求して、多くのユーザが自然な形で誘導され、目的の結果に短時間で達するように設計されているシステム。良い具体例が見つかれば、このノートを使って紹介していきたいと思います。

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