イベントにおける計画の重要性
こんにちは!介護課 サンクス介護スタッフの阿部(新)です!
先日、サンクスで入居者様(W様)の99歳の誕生会を実施しました。
この事例を通して皆さんに、私がイベントを企画してから実施するまでの過程と、実施してみて大切だと感じたことを皆さんと共有できたらと思い、今回掲載の場を作っていただきました。
ぜひ、今後イベントを開催する際の参考にしてもらえればと思います。
イベントとは?
そもそもイベントとは何なのでしょうか。誰のために行うのでしょうか。「入居者様を楽しませるためでしょ」と言葉でいうのは簡単です。しかしこれが難しいもので私もそうでしたが、意識していないと目的を見失ったイベントになりがちです。なので、常に頭の片隅にこの事を意識して企画したいものです。
事例紹介
まず私がどんなイベントを行ったかを紹介します。
パライソのホームページで企画室が連載しているブログ(2020年9月17日「『P-Snap』⑩白寿のお祝い」)を見ていただけると内容や雰囲気がよくわかると思います。ぜひ皆さん目を通してもらいたいです。(https://paraisogoshiki.com/2020/09/17/psnap10/)
簡単に説明すると、99歳の誕生日というのは賀寿の中の「白寿」と言って特におめでたい年なのです。そこでユニットを巻き込み、タヒチの入居者様皆でお祝いする会を開催しました。更に、普段関わってくださっているNSや栄養士、事務スタッフ、そして家族様から動画でお祝いコメントを撮影し上映することで多くの人に祝ってもらいました。また、ご本人様の大好きなぶどうのケーキを用意し、ユニットの入居者様皆で楽しくケーキを召し上がっていただきました。
W様の紹介と居室担当者の役割
ここで、入居者のW様について少しご紹介したいと思います。W様は今年99歳になられた男性で、笑顔がとてもすてきで、愛嬌のある方です。99歳という年齢から体力的に臥床されている時間が多く、食事以外ではあまりフロアにはいらっしゃらないというのが普段の生活の様子です。その為、ほかの入居者様からも「Wさんって誰だっけ?」という言葉が出てくるくらい他者様との接点が少ない現状がありました。
また、遠慮しがちな部分もあり「何かしたい事とか食べたい物とかありますか?」とお聞きしても「なんにもない」とおっしゃられることが多かったです。そんな中、一回だけ「ぶどうが食べたい」と私に教えてくださいました。
普段やりたいことをあまり話されないW様が「したい」と話してくださったこと。それがとてもうれしくて、「絶対に叶えてあげたい」と思いました。そして日頃の様子から、もっと他者様と接することができるような機会を作りたい。こういった想いから、この誕生会の企画はスタートしました。
今思うと、こういった入居者様の想いや普段の様子から入居者様が「やりたいこと」「望んだ生き方」を見つけて実現するサポートをするのが居室担当者の役割なのではないか、と私は感じました。
実施までのプロセス
次に、私が誕生日にどんなイベントを行おうかと企画し始めた所から、当日の実施に至るまでの過程を紹介します。
〇何のために行うのか
まず、「誕生日に入居者様がやりたい事を実現して喜んでもらう」という所が今回のスタートです。イベントの「目的」でもあります。この目的をしっかりたてておかないと企画が進んでいく中で「本当に入居者様のためのイベントなのか?」というズレたイベントができ上ってしまうと感じました。
そのため、常に目的を意識して「何のために行うのか」を考えながら企画します。
〇5W1Hを活用する
そのとき企画を考えやすくしてくれるのが、「5W1H」つまり、
① Whyなぜ行うのか(目的)、
② What何を行うか(イベント内容)、
③ Whenいつ行うか(日時)、
④ Whereどこで行うか(環境面)、
⑤ Who誰が行うか(必要な人員)、
⑥ Howどのように行うか(必要な物品) です。
今回は「ぶどうが食べたい」という入居者様のご希望があり、じゃあ「ぶどうのケーキを用意しよう」と考えました。でもそれだけではありきたりです。今回は、99歳の誕生日という特別な日です。入居者のW様にとって素敵な1日となるように+αの要素を考えます。
【どうしたら楽しくケーキが食べられるか。】
→みんなで食べたら楽しいのではないか。
→ユニットの入居者様を呼んで皆でケーキを食べよう。(Who「誰と」)
→皆集まるから誕生会として開催しよう。
→99歳で白寿だから式典のような雰囲気の会にしよう。(What「何を」)
→なるべく多くの人に参加してほしいけど、状況的に難しい。
→動画でコメントをもらって当日上映したら普段会えない人の顔も見られて喜んでもらえるのではないか。(How「どのように」)
→場所や時間、必要な物品は何だろう。(When「いつ」・Where「どこで」)
→…
といった風に、連想ゲームのような感じで企画を進めていきました。
この時、5W1Hを軸に考えていけば、バラバラな発想もまとまって、現実的なものになっていき考えやすいのではないかと思います。
実施した結果
たくさんの方の協力もあり、入居者の皆様に楽しんでいただくことができました。その上、予想以上のうれしい出来事があったのです。
〇想定以上の化学反応
先ほどもお話ししましたが、そもそもこの入居者様は年齢的なものもあり、食事以外の時間をほぼ臥床されて過ごされていました。そのため、ユニットで「Wさんの誕生会をやるので、皆さん参加してくださいね!」と伝えても他の入居者様方から「Wさんって誰だっけ?」との言葉が聞かれるほど、他者様との関わりが少なかったです。
しかし、誕生会を通して他者様と関われる機会ができ、W様も笑顔があふれていました。
また、次の日から入居者様方がW様のことを「あの99歳のおじいちゃん」と存在を認識してくださっていたのです。
「大好きなぶどうのケーキを食べてもらいたい」という出発点でしたが、結果として多くの方と関わり、祝われ、関係性を構築できたことで楽しい時間を過ごすことができたのではないかと考えます。
ちなみに、ケーキもぺろりとおいしそうに召し上がっていただけました。
反省点
しかし、企画者として反省すべき点も多くありました。その中で私が大切に感じたことは次の2つのことです。
〇事前の確認
イベントとミーティングが重なってしまったことです。イベントの企画は1か月前から指導し始めましたが、当日の予定を全く把握しておらず、事務所スタッフや早番スタッフに協力してもらえるだろう、と考えていました。結果、当日になり人員が足りないと慌ててしまい、スタッフの皆さんに多大な迷惑をかけてしまいました。事前に必要なスタッフの人数や、当日の予定をしっかり把握していればこのような事態は防ぐことができたのではないかと思います。
〇報告・連絡・相談・確認
また、計画していた時点で協力してもらいたいスタッフの方々にも相談すべきでした。すべて自分でやろうとし、最低限の情報しか周りのスタッフに話していなかったため、予定の重複に気づけなかった部分もあります。万が一確認にミスがあったり急な予定変更があったとしても、企画担当者に報告・連絡することで迅速な対応が可能だったかもしれません。
協力者全員としっかり情報共有を行い、それぞれと報告・連絡・相談・確認を密にする。このことも、今回のイベントで私が最も大事だと感じた点の一つです。
しかしながら、当日、「誕生会を何としても成功させたい」と皆が協力してくださり何とか無事に実施できたことは、本当にありがたいことでした。
伝えたい事
〇計画を立てることが大事
これらのことを通して、私が気づいた事。それは、計画性を持つことの重要さです。
せっかく実施したイベントも、しっかり考え準備していないと中途半端なものになってしまい入居者様どころか、私たちスタッフにとっても「楽しくない」からです。
〇スタッフも楽しんで
イベントは「入居者様を楽しませる」だけでなく「スタッフも楽しんで」こそだと私は思います。何故なら、入居者様からすれば「与えられるだけの立場」って実はつらいと思うのです。スタッフが一生懸命やればやるほど、入居者様はありがたいと思う一方で「やってもらってばかりで申し訳ない」という思いが強くなる面もあるからです。
ですが、私たちスタッフも一方的な思いだけでなく、一緒に楽しんで「楽しい時間をありがとうございます」と入居者様に伝えるだけで、「自分と一緒にいて楽しんでくれている」と負い目が和らぐこともあると思います。それは「ここにいていいんだ」という肯定感や自尊心につながり、生きがいへとなっていくかもしれません。
「入居者様に楽しんでもらいたい」という目的を常に忘れず、計画的にイベントを行う。そして自分たちも楽しむことを忘れずに。これが今回のW様の誕生会で私が学んだことです。皆さんにもこの経験が役立つと嬉しいです。
これからクリスマスやお正月など楽しい行事が目白押しです。
ぜひみんなで楽しいイベントを作って、パライソを盛り上げていきましょう!
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