『白昼夢でDANCE』。
昨日、炎天下の中で会社のトラックのオイル交換をした時の事だ。
古いオイルを抜く為には、車体下部に潜り込み、オイル抜き用ドレンコックを回さなければならないのだが、これが微動だにしないという。
配送業務を終え、帰庫してから少し経っているとは云え、まだエンジン下部には熱が篭っているようで。
いやはや熱い。兎に角暑い。
しかし暑さに負けるのは癪である。こんな時は気分を爽やかに保つのが、夏の正しい乗り越え方ではあるまいか?
そんなこんなで夏にピッタリなナンバーを、マイ脳内プレイリストにて再生開始。トップバッターはバリー・マニロウだ!!
僕のハートはブラジルのコパカバーナ海岸へ一気に飛んで行く!!
ホラ!下を見下ろせば、陽気な水着のレディ達が僕に手を振っているじゃないか!
僕は手を振り返しながら急降下すると、彼女達の前へと降り立った。
『やぁ!君達!僕と踊らないかい?』
情熱の国・ブラジルの女性達は、すぐさま華麗なステップで砂を蹴り上げながら踊り始める。
『コパカバーナ!!』
陽気なサウンドに心が沸き立つ。歌えもしないのにメロディを口ずさむ僕。
気が付けばいつの間にか踊る女性は一人だけになっている。でも構わないさ。君が居てくれれば大丈夫。さぁ!手を取り合って踊りましょう!!君の手のひら。実に熱い!!心が燃えたぎっている証拠さ。意外と君の手は硬いんだね?しかも熱いときたもんだ・・・
気付けば私の目の前にはトラックのタイヤ。
僕は手のひらをタイヤに押し当てながら、ドレンコックを回していたのだ。
暑い!!本当に暑い!!
僕は白昼夢を見ていたのだろうか???
『このタイヤにはこんなに熱が篭っていたんだ!』
熱が篭ったタイヤ。
熱籠りタイヤ。
熱、タイヤ。
『熱、タイヤ』?!
その瞬間!!
ビクともしなかったトラックのオイル交換用ドレンコックが、ようやく動いたのだった・・・
そうか。
つまりだな。
今夜も『熱帯夜』って事か・・・
アレ?もしかしてヤバくねオレ・・・💧
これって熱中症・・・?
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バリー・マニロウの大ヒット曲『コパカバーナ』は、ブラジルの土地ではなく、ニューヨークのクラブの名前である。
その歌の内容は決して陽気なものではなく、悲しい結末を迎えた、ある女性のお話なのだ。
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