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『闇夜より聞こえくる鳴き声』

いや。

何の事はない。

ただ単に近所の田圃に水が入ったので、蛙達が一斉に鳴き始めたのだ。

毎年恒例の事とはいえ、彼らの鳴き声を聞くと春の終わりを実感する。

昨夜などは関東最北端らしく、まだまだ寒くて暖房が必要な程。

そんな夜は蛙達も愛の歌を唄う元気など全くなく、静かにひたすら休んでいる様だ。

で。

ふと、改めて思った事をここに記そうと思う。

不思議な事に、蛙達が一斉に鳴き止む瞬間があるのだ。

それも申し合わせた様に・・・だ。


まるで何かから身を守る様に、蛙達は息を潜める。

漆黒の闇より出たる、忌むべき存在からの防御なのか・・・?

なーーーーんて、ひとり戯れていると、外の鳴き声が一斉に消えた。


蛙達が『何か』を警戒している?!?!



息を殺し、外の動きに耳を澄ます。


何も聴こえない。


依然蛙達は沈黙したままだ。


無理は止めよう。身体にも心にも悪影響だ。


『何かが居る!!』


蛙達と同じく、僕も息を潜めた・・・





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