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材料費

◯直接材料費と間接材料費

直接材料費とはどの製品にいくら使ったかを把握することのできる材料費です。反対に間接材料費とはいくら使ったかわからない材料費のことです。

①主要材料費(素材費、原料費)

製品の本体を構成する材料を主要材料といい、その消費額を主要材料費と言います。
例)パン→小麦粉

②買入部品費

買入部品とは、外部から購入してそのまま取り付ける部品のことです。その消費額を買入部品費と言います。
例)車→タイヤ

③補助材料費

補助材料とは、製品の製造のために補助的に使われる材料です。その消費額を補助材料費と言います。
例)接着剤、くぎ

④工場消耗品費

工場消耗品とは、工場で製品を製造するために補助的に使われる消耗品です。その消費額を工場消耗品費と言います。
例)アルコール、軍手

⑤消耗工具器具備品費

消耗工具器具とは、ドライバーやハンマーなど工場で短期的に使われる少額の器具や備品です。その消費額を消耗工具器具備品費と言います。

〇材料の購入

材料の購入原価購入代価(材料自体の価額)に付随費用(引き取り運賃など購入にかかった費用を足した合計です。なお不随費用は材料副費とも言います
購入原価 = 購入代価 + 付随費用(材料副費)

仕訳の際は材料として資産で処理します。

例)木材10枚(@10円)を購入し、引取運賃20円と合わせて現金で払った。
(材料)120 (現金)120

〇消費単価

直接材料を消費したときは仕掛品勘定に、間接材料を消費したときは製造間接費勘定に振り替えます。

例)材料800円を消費した。なおこのうち700円は直接材料として、残り100円は間接材料として消費した。
(仕掛品)700  (材料)800
(製造間接費)100

材料費は消費単価(使った材料の単価)に消費数量を掛けて計算します。しかし、商品の時のように購入する際の単価は変動するので、それに合わせて消費単価も計算する必要があります。

消費単価の決定方法も商品の払出単価と同じ先入先出法総平均法があります。

・先入先出法

例)今月、直接材料として木材9枚を消費した。なお月初材料は2枚(@10円)、当月材料購入量は8枚(@15円)とする。
材料 = 2 × 10 + 7 × 15 = 20 + 105 = 125
(仕掛品)125 (材料)125
月末材料 = 1 × 15 = 15

・総平均法

移動平均法では仕入れする度に平均の単価を計算して、その平均単価を払出単価としていましたが、総平均法では一定期間に購入した総購入額を総数量で割って平均単価を求めます。

例)今月、直接材料として木材9枚を消費した。なお月初材料は2枚(@10円)、当月材料購入量は8枚(@15円)とする。
平均単価 =(2 × 10 + 8 × 15)÷(2 + 8)= 140 ÷ 10 = 14
材料 = 9 × 14 = 126
(仕掛品)126 (材料)126
月末材料
= 1 × 14 = 14

〇消費数量

・継続記録法

継続記録法とは、材料を購入したり消費したりするたびに材料元帳に記録し、材料元帳の払出数量欄に記入された数量を消費数量とする方法です。

消費数量 = 払出数量欄に記入された数

常に在庫を把握することができ、また月末に棚卸を行うことで棚卸減耗を把握することができます。

・棚卸計算法

棚卸計算法とは、材料を購入したときだけ材料元帳に記録し、購入記録と月末の実地棚卸数量から消費数量を計算する方法です。

消費数量 = 月初数量 + 当月購入数量 - 月末実地棚卸数量

継続記録法に比べて記録の手間は少ないですが、月末にならないと在庫の把握ができず、棚卸減耗を把握できないというデメリットがあります。

〇棚卸減耗

工業簿記の場合、棚卸減耗が通常生じうる程度のものの場合は製造間接費(間接経費)として処理します。盗難や火災等、異常の場合は非原価項目として処理しますが2級では出題されません。

例)月末において、材料の帳簿棚卸数量は10枚(@10円)であるが、実地棚卸数量は8枚であった。なお棚卸減耗は正常なものとする。
(製造間接費)20 (材料)20

〇予定消費単価

予定消費単価とは、あらかじめ決められた単価のことです。これまでは購入単価を用いて材料費を計算していましたが、実際には時期によって購入単価が異なる場合があったり、総平均法の場合は消費数量が月末までわからないので計算ができない場合があります。

そこで予定消費単価を設定し、そこに消費数量を掛けて材料費を計算します。※試験では予定消費単価を指示されます。

材料費 = 予定消費単価 × 消費数量

例)今月、直接材料として木材9枚を消費した。なお予定消費単価は@10円とする。
(仕掛品)90 (材料)90

・月末時

月末になると実際の消費額を計算し、予定消費額と比べて差異を調整します。その際の相手科目は材料消費価格差異で処理します。

例)月末において、当月の実際消費額は99円(9枚 × @11円)であった。
なお予定消費単価は@10円とする。
(材料消費価格差異)9 (材料)9

例)月末において、当月の実際消費額は81円(9枚 × @9円)であった。
なお予定消費単価は@10円とする。
(材料)9 (材料消費価格差異)9

・決算時

決算時に材料消費価格差異の残高を売上原価に振り替えます。

例)決算において材料消費価格差異100円(借方)を売上原価勘定に振り替える。
(売上原価)100 (材料消費価格差異)100
※売上原価が増えるので不利差異といいます。

例)決算において材料消費価格差異100円(貸方)を売上原価勘定に振り替える。
(材料消費価格差異)100 (売上原価)100
※売上原価が減るので有利差異といいます。

〇材料副費

材料副費のうち購入してから倉庫に入庫するまでにかかった費用を外部材料副費、入庫してから出庫までにかかった費用を内部材料副費と言います。

これら材料副費は購入した際にどれくらいかかるのか不明のため、購入代価の何%を材料副費として処理する予定配賦率を用いて計算する場合があります。これを材料副費の予定計算といいます。その際に材料副費で処理します。

例)材料100円を購入し現金で支払った。なお材料副費については購入代価の1%を予定配賦する。
(材料)101 (現金)100
        (材料副費)1

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