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本支店会計

◯支店独立会計制度


大企業では本社だけではなく全国に支店を展開しているところもあります。
この場合の会計制度を本支店会計と言います。

支店が行なった取引は支店の帳簿に記入することを支店独立会計制度、帳簿を本店だけに置き、支店が行なった取引も本店が一括して処理する方法を本店集中会計制度と言います。

なお簿記2級では支店独立会計制度を学習します。

本店が支店に現金を送金した場合、それぞれの帳簿を支店または本店勘定で処理します。

例)本店から支店に現金100円を送金した。
本店の帳簿
(支店)100  (現金)100
支店の帳簿
(現金)100  (本店)100

支店の負債の支払いを本店が行なったり、商品の移動があった際も同じように仕訳します。

例)支店の買掛金100円を本店が現金で支払った。
本店の帳簿
(支店)100  (現金)100
支店の帳簿
(買掛金)100  (本店)100

例)本店の商品100円を支店に送った。
本店の帳簿
(支店)100  (仕入)100
支店の帳簿
(仕入)100  (本店)100

・支店分散計算制度

支店が2つ以上ある場合、それぞれの支店において各支店勘定を設けて処理する方法です。

例)A支店はB支店に現金100円を送金した。
A支店の帳簿
(B支店)100  (現金)100
B支店の帳簿
(現金)100  (A支店)100

・本店集中計算制度

各支店の帳簿には本店勘定のみを記載し、支店間の処理であっても本店を経由したように記載します。
例)A支店はB支店に現金100円を送金した。
本店の帳簿
(B支店)100  (A支店)100
A支店の帳簿
(本店)100  (現金)100
B支店の帳簿
(現金)100  (本店)100

◯本支店合併財務諸表

財務諸表は株主や取引先などに提示するものなので、会社全体のものを提出する必要があります。そのために本店と支店の取引をまとめた財務諸表を本支店合併財務諸表と言います。本支店合併財務諸表は以下のような流れで作成します。

①本店、支店ごとで決算整理

決算整理は本店支店ごとに行います。やり方はこれまで学習した通りです。

②内部取引の相殺

本支店合併財務諸表には会社内部での取引は計上しないので、本店や支店などの勘定科目は相殺して消去します。

例)次の残高試算表から本支店合併貸借対照表と本支店合併損益計算書を作成しなさい。なお損益計算書は経常利益までとし、経常利益を損益として繰越利益剰余金と仕訳するとする。

損益計算書

これより(繰越利益剰余金)100  (損益)100

貸借対照表

以上のことからわかるように、本店と支店は相殺されるので記載する必要はありません。

③帳簿の締切

Ⅰ. 収益・費用の各勘定残高を損益に振り替え
先ほどの例では損益の振り替えをまとめて行いましたが、本支店会計の場合は本店に総合損益勘定を設けて処理します。

本店と支店の損益の総勘定元帳を作成します。
本店は総合損益で処理します。

支店は本店で処理し、それぞれで仕訳します。

支店の帳簿
(本店)100  (損益)100
本店の帳簿
(総合損益)100  (支店)100

最後に本店の総合損益を締め切ります。

Ⅱ. 法人税等の計上
法人税は会社全体の利益から計算するので、いったん法人税等を仕訳した後に総合損益勘定に振り替えます。

例)当期の法人税等は100円であった。なお仮払いはしていない。
(法人税等)100 (未払法人税等)100
(総合損益)100 (法人税等)100

Ⅲ. 資本の振り替え
総合損益の差額を繰越利益剰余金に振り替えます。それ以外は今まで学習した内容と同じです。





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