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部門別個別原価計算

部門別計算とは、複数の部門がある場合に部門ごとに原価を計算することです。会社の規模が大きくなってくると製造以外にも運搬や事務などの業務が必要不可欠です。工業簿記では製造にかかわっている製造部門とそれ以外の補助部門に分けて考えます。

〇部門個別費と部門共通費

部門個別費とは、製造間接費のうち特定の部門で発生したものをさし、該当部門に賦課します。一方部門共通費は製造間接費のうち複数の部門に共通して発生するものをさし、配賦基準によって各部に配賦します。

例)当月の製造間接費発生額は次のとおりである。なお建物減価償却費は専有面積によって、電力料は電力消費量によって各部門に配賦する。

・建物減価償却費
第一製造部門:1,000 × (400 ÷ 1,000)= 400
第二製造部門:1,000 × (300 ÷ 1,000)= 300
運搬部門:1,000 × (200 ÷ 1,000)= 200
事務部門:1,000 × (100 ÷ 1,000)= 100

・電力料
第一製造部門:600 × (10 ÷ 30)= 200
第二製造部門:600 × (10 ÷ 30)= 200
運搬部門:600 × (5 ÷ 30)= 100
事務部門:600 × (5 ÷ 30)= 100

◯直接配賦法と相互配賦法

部門ごとに製造間接費を計算したら、補助部門の製造間接費を製造部に配賦します。しかし補助部門の中でも例えば修繕部門の補助を事務部門が行なっているなど、補助部門間の配賦も考慮する可能性があります。

・直接配賦法

直接配賦法は補助部門間のやり取りを無視して、直接製造部門に配賦する方法です。配賦基準をもとにこれまでの要領で配賦します。

・相互配賦法

相互配賦法は補助部門間のやり取りも考慮して配賦する方法で、2段階に分けて行います。
まず第一次配賦で補助部門費を各部門に配賦基準をもとにして配賦し、第二次配賦で第一次配賦に配賦された費用を製造部門に再配賦します。

例)補助部門費を製造部門に配賦する

・直接配布法
運搬部門の配賦
第一製造部門:800 ×(4 ÷ 8)= 400
第二製造部門:800 ×(4 ÷ 8)= 400
事務部門の配賦
第一製造部門:600 ×(2 ÷ 4)= 300
第二製造部門:600 ×(2 ÷ 4)= 300

・相互配賦法
第一次配賦
運搬部門の配賦
第一製造部門:800 ×(4 ÷ 10)= 320
第二製造部門:800 ×(4 ÷ 10)= 320
事務部門:800 ×(2 ÷ 10)= 160
事務部門の配賦
第一製造部門:600 ×(2 ÷ 6)= 200
第二製造部門:600 ×(2 ÷ 6)= 200
運搬部門:600 ×(1 ÷ 6)= 100
事務部門:600 ×(1 ÷ 6)= 100

第二次配賦
運搬部門の配賦
第一製造部門:100 ×(4 ÷ 8)= 50
第二製造部門:100 ×(4 ÷ 8)= 50
事務部門の配賦
第一製造部門:260 ×(2 ÷ 4)= 130
第二製造部門:260 ×(2 ÷ 4)= 130

◯製造指図書への再配賦

ここからの流れは個別原価計算の時と同じで、配賦基準に基づいて製造指図書に振り分けます。また製造部門費も予定配賦することができ、その差異は〇〇部門費、製造部門費配賦差異で処理します。売上原価等への振替も同様です。


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