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競馬のおはなし ④1レースの流れ(平常時)

最近、競馬に関するツイートをする機会が多いので、適宜まとめることにしました。
ツイートしてないことすら書くようになりました。

④1レースの流れ(平常時)

そもそも競馬の1レースって、どんな感じで始まって、どんな感じで終わるのかという話をするのを忘れていました。
競馬で一番基本的なところを、さらっとまとめてみます。

☆さらっと、と言いながら5000文字オーバーの記事なので要注意☆

パドック

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下見所」とも言います。
レースコースからスタンドを挟んだ反対側、だいたいの競馬場は入場門からスタンドまでの間にある、小さい楕円状の場所のことです。
また、そこで行われる、馬の下見せのことも指します。
競輪でいう選手紹介、競艇でいう周回展示のことです。

レースの30~40分ぐらい前から、競走馬は厩務員にひかれてパドックをぐるぐる回ります。
しばらく回った後(10~20分後)、パドックの奥から騎手が出てきます。その騎手を乗せて改めて2周ぐらいした後、地下通路(地下馬道という)を通ってコースへ向かいます。

競走馬的には、レース前に気持ちを落ち着けるため、ゆっくり歩かせます。
気持ちが高ぶりすぎて暴れる馬もわりといます。特に若駒や癖がものすごい馬にその傾向があります。
厩務員さんまじ大変。(厩務員さんが負傷することもよくある)

ファン的には、当日の馬の調子を見る=パドックと言えるぐらい、レース当日に馬券検討する材料としてポピュラーでスタンダードな場所です。
人によって着眼点は違うのですが、私は歩き方とか、汗をかいてるかとかを気にして見ています。
具体的にどういうところを見たらいい、というのはガチ馬券勢が色々記事を書いているので、素人は黙っとります。
(みんなバラバラのアドバイスをするぐらいで、「ここを見たら絶対当たる」みたいなポイントは無いので、なんとなく良さそうって感じで見るのも大アリです)

あと、馬がゆっくり歩いているので、写真勢にも人気スポットです。
パドック最前列はだいたい、ガチ馬券オヤジか、ガチ撮影お兄さんが占領しています。

ちなみにJRA京都競馬場のパドックは珍しく真円(上の写真は京都競馬場)でしたが、現在行っている改修で楕円になります。めちゃくちゃ悲しい。

本馬場入場・返し馬

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レースの15~10分前に、馬はパドックからコースへ移動してきます。

コースのことを「本馬場」と呼びます。
本馬場に入場することを「本馬場入場」と呼びます。
まんまですね。

このタイミングで、実況アナウンサーによって、レース名と競走条件(芝/ダート、距離)が読み上げられ、続いて各馬と騎手の紹介が行われます。

馬たちは厩務員にひかれて本馬場に入場した後、厩務員の手を離れ、それぞれスタート地点へ向かいます。
これを「返し馬(かえしうま)」と言います。

実際に馬場に足を踏み入れて、馬場を駆ける姿を初めて見せる(かつ、馬券発売締め切り前では最後に見せる)場のため、馬券検討に役立てているファンも少なくありません。
ごろうさんは返し馬での着眼点がよく分かってないです。

馬券発売締め切り

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↑競馬場内の馬券発売所。
場内には物凄い数の発売所があるが、締め切り直前は大混雑になる。

馬券発売はレース前に締め切られます。

競馬場やウインズなどでの購入は、レースの2分前が締め切りです。
オッズが書かれた画面には締め切りまでの残り時間が書かれてあるので、それを見ながら焦ります。
焦ってマークミスするのが様式美。
レース2分前になると、馬券発売所にブザーが響き渡り、当該レースに関する投票は一切受け付けられなくなります。

最近のインターネット投票は基本的にレース1分前が締め切りです。

電話投票(本当に電話を使って投票する制度)や昔のオンライン投票は5分前だったりします。

投票する媒体の画面でご確認ください。

馬券の種類は本シリーズ③にて解説しています。

払い戻し倍率のことをオッズ(odds、ギャンブルが当たる確率のこと)と言います。
オッズという単語の原義とちょっと違いますが、日本では、もし当たったら戻ってくる倍率を指してオッズと呼びます。
倍率がズラーッと出ている画面をオッズ画面と呼びます。
実況でも「三連単のオッズはご覧のとおり」みたいな言い方をします。

単勝3.5倍の馬に1000円賭けて当たったら、1000 * 3.5 = 3500円の払い戻しですね。
原資は1000円なので、2500円儲けたということになります。

オッズや人気については、また別記事で紹介したいと思います。

輪乗り

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馬券オヤジたちが締め切りベルの恐怖に迫られているころ、馬たちはスタートゲートの真後ろで円になってグルグル回っています。
これを「輪乗り(わのり)」といいます。

上の写真、ゲートの後ろに馬がたかっていますが、ぐるぐる回ってます。

ファンファーレ

発走時刻になると、スターターのおじさん(発走委員という係員さん)がスタート台に登ります。
電気工事に使うみたいな、荷台部分が上下に動くトラックに乗り込んで上昇します。たぶん専用トラックです。
乗り込んだおじさんが赤い旗を振ると、ファンファーレが鳴り響きます。

さっきの写真の右側のビジョンに映ってるのが、赤い旗を振ってるおじさんです。

ほとんどのレースのファンファーレは録音再生です。赤い旗が振られたのを見て、放送ブースから再生ボタンをポチッとします。

一部の重賞レースや、特殊なレースでは大学生(関大や北大など)や企業の音楽団(名鉄ブラスバンド部やNHK交響楽団など)、消防団、自衛隊などが生演奏します。
生演奏の際は指揮者がスターター(が映された大型ビジョン)を凝視して、振りそうになったら指揮しはじめます。

ファンファーレの話は、それはそれでネタが色々あるので別記事にします。

ちなみにファンファーレは日本独自文化のようです。
海外競馬ではこんなハデなことはしていません。
馬がビックリしますからね。
海外から見て日本競馬が異端と言われる最たる例だそうです。

ゲートイン

ファンファーレを合図に、輪乗りしていた馬たちはゲートに入っていきます。
発走委員さんたちにひかれ、順々にゲートへ導かれます。

奇数頭数の場合は偶数番号の馬から、偶数頭数の場合は奇数番号の馬から順に誘導されるのが基本です。
偶数番号の馬が入ったら、つづいて一番外枠以外の奇数番号(偶数頭数なら逆)の馬がゲートインします。
全部の馬を同時に入れると、馬が暴れたときに隣の馬や係員さんが危険ですからね。
(尻っ跳ねを見せる(=後ろ蹴りする)馬はよくいます)
そして、最後に一番外枠の馬が誘導されます。

ゲート入りが苦手な馬がいれば、最初に入れます。ゲートに入るまで時間がかかりそうですからね。

ゲートの中に誘導した係員さんは、発走までに脱出しないと超危険です。
一番外枠の馬を最後に入れる理由は、係員さんが一番短時間で脱出できるからですね。
でも自分はやりたくない。こわい。(主観)

発走

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すべての馬がゲートインしたら、前扉が一斉に開いてスタートです。

扉を開けるのは、ファンファーレのための旗を振ったおじさん(スターター)です。あのトラックには、旗のほかにゲートを開けるレバーもあるのです。

おじさんは、最後の係員さんが脱出完了して、あとゲートの中で立ち上がったりしてスタートできなさそうな馬がいないことを確認したら、何か大声を出して、レバーを引いて前扉を開けます。

ゲートの中の騎手たちは、スタートダッシュを切らないといけないので、声を頼りにスタート体勢を取っているんだそうな。
陸上のオンユアマークス→セット(位置について→用意)と同じなんですね。

ゲートが開いた(なおかつ正常スタートなら……正常じゃない場合は別記事に記載)ら、このレースは成立したとみなされます。
馬券的には、ゲートが開いたら「あたり」「はずれ」の2択だけになります。
ゲートが開く前にトラブルで出走できない馬がいたら「返還買い戻しとも。その馬券を売ってなかったことにする)」になりますが、ゲートが開いてからは何があっても「はずれ」です。

ゲートを開けるかどうかは、スターターのおじさんにかかっています。
スターターのおじさん、プレッシャーやばそう。(実際やばいらしい)
(スターターのおじさんはしばしば恨まれる対象にもなる)
何度も「おじさん」と書いていますが、発走委員の中でもかなりの重役だけが担当できる仕事です。ただのおじさんじゃない。

レース

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スタートしたら、あとはゴールするだけです。

各騎手が馬の様子を見ながら、事前に調教師さんたちと決めたレース運びになるよう、溜めるところは溜めて、走らせるところは走らせます。

走らせるときには馬に気合を入れるために、尻にを入れます。
サラブレッド的には、まあ普通に痛いらしいという話です。
(完全に脱線しますが、ばんえい競馬のばん馬は皮膚が分厚く、鞭(のようなもの)では特に痛みを感じないらしい。)

競馬場は楕円です。カーブや直線には通称があります。

カーブは、ゴール板を通過してから最初に通るカーブから順に数えて、1コーナー・2コーナー・3コーナー・4コーナーです。
コーナー1つで90度曲がります。
日本の競馬場はほとんど1コーナーと2コーナーはセット、3コーナーと4コーナーはセットです。2つを一気に曲がって180度方向転換するわけですね。
海外には、1コーナーと2コーナーの間にも直線がある、台形みたいな形状のコースもあります。

直線は、スタンドから遠い方は「向こう正面」と呼ばれることが多いです。
スタンド側のほうは「最後の直線」と呼ぶことが多いですが、最後じゃない場合(スタンド前からスタートして、丸々一周してゴールの場合とか)は「正面スタンド前の直線」と呼ばれることが多いです。

最後の直線に差し掛かる直前に曲がる角は4コーナー、と覚えましょう。
競馬新聞では省略して「4角」みたいな書き方もします。

図示するとこうなります。

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図示していませんが、ぐるぐる回るだけではなく、
・外周にヒゲみたいなコース(ポケット地点と呼ばれる、スタート専用ゾーン)
・馬場の真ん中をたすき掛けに通過するコース(真ん中が池で横断できない京都競馬場を除く)
…が、あったりします。
また周回コースも大きな円・小さな円を複数備えていることも。

JRA・地方の競馬場全部挙げてみたのですが、1つだけ仲間はずれがあるので、一応オマケでつけておきます。

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ゴール

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※この写真だけ大井競馬場

所定の距離を走って、ゴール板(ゴールばん)の前を駆け抜けるとゴールです。

サラブレッドのレースは、馬の鼻先がゴール板を通過した順が到達順になります。

(ばんえい競馬は、馬が牽いてるソリの後端部が過ぎ去った順が到達順です)

ちなみにゴール板のどこがゴールか?

真ん中です。

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このド真ん中ラインのことを決勝線(けっしょうせん)と言います。
決勝線を、スリットカメラという特殊なカメラで連写しています。
スリットカメラは横幅が1px程度という極端な画角を持つカメラで、このカメラで撮った写真を横にズラーーッと並べると、横軸がタイムラインになるという画期的なものです。

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写真出典:サンスポ

判定写真を見ると、なんとなく、1着は7番か14番かって勘づけるじゃないですか。
この写真は、右端が一番"古い"写真で、左に行くほど時間が進んでいます。
一番右端に鼻先がある馬が、時系列的には最初に決勝線を通ったということになります。

ちなみにこれは2008年の天皇賞(秋)の判定写真で、の14番ウオッカが1着で、最内の7番ダイワスカーレットが2着です。

判定写真は馬場の外周(具体的にはメインスタンド)から撮ってるため、常に写真手前が馬場の外写真奥が馬場の内側になります。

着順確定

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特に何事もなければ、ゴール板を通過した順番(到達順位入線順などと呼ぶ)がそのまま着順(ちゃくじゅん)となります。
(到達順位と着順が変わってしまう例もありますが、例外なので別記事で)

この着順を、裁決委員という係員さんが確定(かくてい)と言えば、その瞬間に着順が正式に決まります。
確定すると、場内の着順掲示板(ちゃくじゅん けいじばん)の右上に、赤背景に白文字でデカデカと「確定」と表示します。
確定するまでの間は、着順掲示板の着順表示は点滅していますが、確定すると点滅が止まります。

確定すると同時に、当たり馬券に対する配当(払い戻し)が行われます。
リアル馬券を購入している人は、競馬場に設置された払い戻し機(馬券発売機と一緒のことが多い)や窓口で。
ネット投票している人は、その投票サービスのタイミングで。
当たった人には、最終オッズに基づいた払い戻しをします。

買った馬券が何らかの理由で返還になった場合は、確定したタイミングで(ネット投票は返還事由発生後、即時らしい?)賭け金を返還してもらえます。
「損はしなかった」「負けなかった」「1.0倍を当てた」などとぼやくのが馬券オヤジ。

次のレースへ

前のレースが終わった頃には、次のレースのパドック周回が始まっています。

次のレースの予想をするため、馬券オヤジたちはパドックへ集団移動します。
民族大移動レベルでゾロゾロ移動します。そういうものです。

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1レースの流れはこんな感じ。
中央競馬では、これが1日12回繰り返されます。

昼休み時は民族大移動レベルで、続々と吉野家に詰めかけます。そういうものです。
(吉野家の行列は、昼休み前最後のレースが発走したぐらいから出来上がってる)
ちなみに、競馬場の吉野家はスピード特化型で、
・丼メニューは牛丼大盛弁当のみ(ご飯かるめはOK)
・あとはお新香とか温玉とかのサイドだけ
という潔い店です。回転率がすごいです。

この記事では一番平穏に進むパターンを記載しました。
競馬には色々イレギュラーがあるので、次の記事ではイレギュラー編をまとめて書いていこうかと思います。

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