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アイドルとワイ。


出会いは中学生の時。

親に隠れてたまにしていた夜更かしは、いつだって掛け布団と敷布団の間。
寝静まったリビング、兄の部屋と父母の部屋に挟まれた真ん中の部屋。
去年から念願の一人部屋を手に入れた自分だけの城。

持ち込んだ携帯電話のワンセグで、ただテレビを見ていた。

昔からテレビが大好きだった。
親の躾は小学生のうちは厳しく、門限と就寝時間を守らないと夜通しベランダの寒空の下、反省をさせられる。泣きながら窓を叩き続けて1時間、悲しそうな顔をした母が窓を開け、父に反省と謝罪を述べる。拳骨を喰らってもう2度としないと誓わされては、またそれを繰り返していた。

夜のテレビは見れなかったから、好きな芸人が出ていて、友達が話題にしてたテレビも見れなかった。
リチャードホールが見れなくて泣いた日もあったくらいだ。

中学生にもなると、父もある程度は目を瞑ってくれるようになった。
少し門限を過ぎたって、父の携帯でエロサイトを見てパケット量が1万を超えたって、拳骨を喰らうことは無くなったのだ。

その日も夜更かしして、テレビを見ていた。
ザッピングして面白そうな番組がないか探していた0時29分。面白そうな番組が始まった。
司会はバッドボーイズ 。後に僕の人生にどでかいインパクトを与える芸人。
番組のタイトルは『AKBINGO!』。
見たことのないアイドルたちが体を張って挑むバラエティ番組だった。
めちゃくちゃ面白かった。と同時に、今まで感じなかった感情に気づき始めていた。
好きな人を好きになるのとは違う、好きの気持ちだった。


綺麗どころとされているメンバーとは少し違う、残念な扱いを受けている子に目を奪われていた。

それから毎週、その番組を見るようになった。
見れない時は録画をして。それが家族にバレるのが少し恥ずかしくてVHSのタイトルにはAスタジオと嘘を書いた。

峯岸みなみ、人生最初の推しメンだった。

あの日から今日まで、ワイはアイドルが好きだ。

ワイがアイドルに求めるものは、あの日から何も変わっていない。

日常の中に彩りを与える非日常。

今の推しメンたちにも、同じことを求めている気がする。

ベッドの上から、フロアに変わっても、このつまらない日常を変えることができるアイドルたちに、このくたびれた仕事ばかりの人生のワイに一瞬だけ生きている価値をくれるアイドルに、ワイは惚れているんだと思う。

あなたのアイドルはどこから?

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