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過呼吸みたいになるよ

先週、同僚が地方の盆踊り大会に参加してきたらしい。私は盆踊りの踊り方さえ知らない。いつどこで、ヒトは踊り方を習うのだろうか。

蕎麦屋で夕食。帰宅途中、サイゼリヤのアイスティラミスが無性に食べたくなって、近所の店舗に向う。着席し、アイスティラミスとドリンクバーのセットを注文。店員が私たちに、アイスティラミスの品切れを告げる。狼狽する。代わりにアマレーナとミルクジェラートを注文。メニューによると、サイゼリヤのデザートは全て、イタリアから空輸しているらしい。ときには品切れすることもあるだろう。悪天候の影響とかで。

店員が席を去る。奥さんが、調味料置き場のテーブルに置かれた『サイゼリヤのまちがいさがし』の見本本を席に持ってくる。キッズメニューの「10のまちがいさがし」をまとめた好事家垂涎の一冊。奥さんとひとつ挑戦してみる。この「まちがいさがし」に挑むには、目に映るもの全てに疑ってかかる必要がある。大の大人二人がかりで左右のイラストを逐一検分するが、今日もあと2,3個で断念。ふだんのキッズメニューには正解が掲載されていないので、いつまでも頭を悩ますことができるのだが、この本の場合、最後の頁に正解が載っている。正解が簡単に手に入ってしまうと、なんだか物足りない気分に。興が冷めたのか、奥さんが黙って本を元の場所に戻しに行く。

金曜の夜、店内は満席。会社帰りの若い男性や女性の一人客が多い。プロシュートにワイン、フォカッチャにミネストローネ、プリンにカプチーノ、皆一人ひとりが思い思いに好きな料理を堪能していて、良い光景だなあと思う。PCを開き、昨日読んだウィラ・キャザーの『大司教に死来る』の中から印象に残った文章をEvernoteにメモする。そのあと、前日分の日記を書く。奥さんは、私が貸した貴志祐介『新世界より』の上巻を読んでいる。気が付くと、店内はがらんどうとしていて、私たち以外の客は誰もいない。閉店の時刻が迫っていた。いつも客で賑わう店内しか見たことが無かったので、覗いてはいけないものを盗み見たような後ろめたさが。そそくさと会計を済ませて、最後の客が店を出る。

帰り道、奥さんに『新世界より』の感想を聞いてみる。上巻で一番ドキドキハラハラするくだりをちょうど読み終わった様子。これからもっとドキドキハラハラするから。ドキドキハラハラし過ぎて、読んでいる間、息が止まらなくなって、過呼吸みたいになるよ、と彼女に忠告する。そんな大げさな、と笑われる。

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