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サッカーにおける"チャンス"とは何か?

サッカーにおける「チャンス」とは何か?

今回のnoteではこれをテーマに掘り下げていきたいと思います。

ライブベットをする時に、いまどちらのチームが優位か、得点しそうかというのは多くの場合、創り出す「チャンスの多さ」や「チャンスの質」で判断しますよね。

チャンスを考えるうえで以下のような情報を見ていませんか?


ボール支配率?

Dangerous Attackの多さ?

枠内(枠外)シュートの本数?

ブックメーカー上の数字では上記のようなものがありますが、本当にチャンスを表しているのでしょうか???


「チャンス」というのはなかなか曖昧なもので解釈は十人十色かもしれません。

ただ、そうはいっても多くの人が見た際にこれはチャンスだ!と感じる瞬間があります。

その時、ピッチ上では何が起きているのか一定の共通理解があるのです。

今回はその「チャンス」を知ることで、優位なチームや得点の匂いの指標をお伝えできればと思います。

(noteを読み終えたとき、「こういう状況を多く作り出せているチームはゴールが決まる確率が高そうだ!」という感覚を持ってもらえれば最高の結論です!)


なお、今回のテーマは私の個人的な見解だけではお役に立てない可能性が高いため、私の敬愛する名将カルロ・アンチェロッティの著書から得た情報もお伝えしていきます。

*カルロ・アンチェロッティとは

↑Wikipedia参照

↓今回のnoteの重要参考文献(本日時点で中古品の最安値は41円らしいw)

↑アフィリエイトではないのでご安心ください


※以下、説明していきますが「他にもこういう状況もあるだろ!」といいたくなることもあるかと思いますが、なるべくサッカー経験のない方にもわかるようお伝えしたいため、あらゆるシチュエーションを述べるつもりはありません。どうかご容赦ください。


※ライブ映像を観ながらベットする際に役立つ情報です。簡易なスタッツのように数字で判断する情報ではございません。


目次

1.現代サッカーの仕組みについて~goro的見解~
2.ゴールまでのプロセス
3.「チャンス」とは何か?



現代サッカーの仕組みについて~goro的見解~

まず、前提となる考えをご理解頂きたいため、現代のサッカーは総じてどのようなサッカーと言えるのかという点を紐解いていきます。

この点については「オフサイド」の概念が外せません。

ご存じの通りサッカーは11人×2チームの22人がピッチ上に立っており、そのうちGKを除いた20名がフィールドプレイヤーとして激しく動き回ります。

オフサイドはその20人の動きを大きく制限するものです。

※オフサイドのルールの詳細については検索してお調べください。


AチームとBチームが戦うとき、AチームのFWは相手ゴール付近でボールが来るのを待ち続けることはできません。なぜならオフサイドの可能性があるからです。(当たり前ですね。)

したがって、AチームのFWは相手のDFラインと同じ位置かそれより低い位置でポジションを取ります。

これはBチームにも言えることです。


この時点でピッチ上では何が起きているかお分かりになりますでしょうか。


"AチームのディフェンスラインとBチームのディフェンスラインの間に20人の選手が存在している"という状況が生まれます。


基本的にこの状態が現代サッカーで最も長い時間維持されている状況です。


そして、この状況ではなかなかゴールが生まれません。
人が多いのでパスコースはなかなか無いし、シュートを打とうにもゴールまで遠いし、ブロックされるし・・・といった状況です。


しかし、それを各チームが工夫をし、打開していくのです。


何をするのか。

「スペースを作り、スペースを見つけ、スペースを使う」

私は現代サッカーはこの3点に集約されていると思います。


少し余談になりますが、サッカー解説者で川崎Fや名古屋グランパスで監督を務めた風間八宏氏がフジテレビのすぽると!で以前

「現代のサッカーっていうのはスペースの突っつき合いなんですね。スペースを制したものが試合を制す。」

と、コメントしていましたが、私の言いたいこともまったく同じです。

オフサイドのルールが制定されてからマイナーチェンジを繰り返すことにより、選手がプレーできるエリアが限定され、どんどんスペースがなくなってきています。(サッカー選手自身のフィジカル能力のアスリート化も影響していると思いますが、それはまたの機会に…)


スペースがあればドリブルもできますし、パスも出しやすいですし、シュートも打てます。

現代サッカーで勝つためにはその"スペース"がキーになっているのです。


まとめですが、現代サッカーは「スペースを作り、スペースを見つけ、スペースを使うというスペースの突っつき合いをしている」とご理解ください。



ゴールまでのプロセス

次にサッカーにおけるゴールはどのような種類(プロセス)があるでしょうか。

一番わかりやすいものは、セットプレーでしょう。

PKやフリーキックを直接決める、コーナーキックに合わせて決める、などです。


では、流れの中での得点はどのような種類があるでしょう。

1.中央でのパス交換からのシュート
2.サイドからのパス・センタリングに合わせてシュート
3.ドリブル突破からシュート
4.ミドル(ロング)シュート


※ロングボールも大きなくくりで「1.中央でのパス交換からのシュート」に含みます。


主にはこの4つに集約されるでしょう。


私たちベッターは特に「流れの中でのゴール」、特に「1.中央でのパス交換からのシュート、2.サイドからのパス・センタリングに合わせてシュート」という展開を読む必要があります。


なぜならセットプレーはあくまで流れの中からファウル等があって生まれるゴールであり、偶発性を含んだ副次的なシチュエーションです。
(もちろん試合の中で一定確率で発生するシチュエーションなので重要なものではありますが、「セットプレーの機会を得るために練習しているチーム」は存在しないですよね?ほぼ全チームが流れの中でいかに得点するかを考え、練習・実践しているので。。)


また、「3.ドリブル突破からシュート」、「4.ミドル(ロング)シュート」についても結果が個人能力に依存しています。ゴールに直結できるほどの3と4の能力を持った選手を有しているチームは世界に1つまみ程度です。

リオネル・メッシのドリブル突破やスティーブン・ジェラード(引退済みだけど)のミドルに期待してベットするのはいいですが、特定のチームでしかできない内容です。


したがって、1.中央でのパス交換からのシュート、2.サイドからのパス・センタリングに合わせてシュート、この2つの状況について掘り下げる必要があるのです。

目の前で起きているこの2つのシチュエーションが「チャンス」になっているかどうか、それが分かれば得点しそうかどうかがわかってくると思います。


「チャンス」とは何か?

みなさんいろんな意見が出ると思います。

先の項目では「1.中央でのパス交換からのシュート、2.サイドからのパス・センタリングに合わせてシュート」という2つが重要だと話しましたが、このシチュエーションが何でもかんでもチャンスというわけではありません。

例えば次の画像をご覧ください。
(極端な(分かりやすい)事例を取り上げます)

【ケース1:チャンスとは呼べない攻撃】
2011年アジアカップ準決勝の日本vs韓国の1シーンです。

延長前半開始早々に韓国の選手が右サイドを駆け上がります。

サンプル4

韓国の選手が日本陣地内に侵入してきている状態(たぶんDangerous
Attackに該当するはず)ですが、チャンスと呼べそうでしょうか??


おそらくチャンスと感じる人はそこまで多くないと思います。

実際この後のプレーではセンタリングを日本のDFが弾き、韓国の攻撃は途切れました。


【ケース2:これぞチャンス!】
同じ試合の前半35分の日本の攻撃です。韓国に先制を許し、何としてでも早く追いつきたい場面です。

左サイドでボールを持った本田が3人の選手を引き付けキープし、外側から長友が画面がぶれるほどのスピードでかけあがります。

サンプル1

次に本田がタイミングを見て、長友にパスを出します。

サンプル2


この瞬間多くのサッカーファンは「チャンスだ!」と感じたはずです。

(このあと長友は韓国陣内深くに侵入し、DFとGKを引き付け中央の前田にパスして前田が押し込んでゴール!という結果になります。)
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さぁみなさんいかがでしょう?

どちらのケースもサイドから中央にパス(センタリング)をしてシュートにつなげようとしましたが、どういう違いがあったでしょう???

ここからが今回のnoteで最重要な情報です。

セリエAとチャンピオンズリーグ優勝を勝ち取り、2000年代初頭のヨーロッパ最強チームと呼ばれるACミランを率いた名将カルロ・アンチェロッティは著書の中でこう書いています。

[攻撃の戦術における最重要テーマについて]

"最もシュートを打ちやすい状況は、ゴールの真正面で目の前に敵が誰もないというそれだろう。しかしもちろん、実際のゲームの中でそのような状況が生まれることは皆無と言っていい。

現実問題としては無理なくシュートを打てるだけの距離(近さ)と角度がある場所でGKと1対1になる、というのが望みうる最良の状況だろう。

では、ピッチ上でプレーするチームがそれを実現するために必要なことは何か。

それは「敵DFの背後にボールを送り込む」ことだ

攻撃側が敵DFラインの裏のスペースでボールを持った時には、かなりの確率でシュートを打てる状況になっているからだ"


先程のケース1の韓国の攻撃では日本のDFがペナルティエリア付近に戻っており、あまりスペースの無い状況でした。

一方ケース2の日本の攻撃では韓国のDFの背後をとることに成功しました。

サンプル2

その証拠に長友と韓国ゴールの間には韓国DFはいません。(韓国ゴールが見切れていてすみません・・・)

結果的に長友は中央へのパスを選択しますが、長友自身もシュートを打てる状況の中で、よりゴールへの確率が高そうな前田へのパスを選んだのです。

この時の日本の攻撃はまさしくアンチェロッティの言う「敵DFの背後にボールを送り込む」ことができていたのでゴールに繋がったのです。

もう結論は分かってきましたよね?

「チャンスというのは"敵DFの背後でボールを持つこと"であり、それに成功しているチームは得点(勝利)が近い」

簡単に言うとこの一言です。
(もちろん他にもチャンスと呼べる状況はあると思いますが、論理的に最も主たる状況を表したものだと思っています)

あたり前のことじゃん!と思うサッカーファンもいるかもしれませんが、アンチェロッティの言葉は重みがありますからね;

ちなみに「どうやったらオフサイドにならずに敵DFの背後でボールを持つようなシチュエーションが作れるの?」という疑問が出るかもしれませんが、それを書くと1万字でも足りなくなりそうなので今回はご勘弁ください笑

とにかく、敵DFの背後でボールを持てているかどうか、この点は重要項目として注視していただくと、試合の行方が分かってくる!・・・はず!!!!


以上で今回のnoteは終りとなります。
ツッコミどころはあるかもしれませんが、皆様が何らか共感できる所があれば幸いです。

これからもどうぞ宜しくお願いします!


余談

先日Goal.comの記事で元アルゼンチン代表のリケルメがイニエスタとメッシについてこんなことを言ってました。

[イニエスタについて]
「彼のようにボールを扱うのは高速道路で運転しているようなものだ。もし前で衝突があったとして、そのまま進む? それとも違うレーンに移る? 回避するだろう。衝突したところに突っ込むことはない。イニエスタにも同じことが言える。彼はフットボールにおいて、多くの人が密集していれば賢くそこを避けることができる」

イニエスタはスペースが無くても上手く避けながら攻撃できると言っていますね。

[メッシについて]
「そして、その衝突に突っ込んでいく唯一の選手が、メッシだ。メッシが突っ込むのは、そこで何が起こっているのかなんて構いやしないからだ。彼はそのまま進んでいってゴールを決めてしまい、何が起こっていたか気づくことさえない。家に帰って、それからテレビを見て知るのがメッシなんだよ」

とても面白い例えです笑

つまり、メッシはスペースがなくてもプレーできてしまうのです。

メッシが世界No.1の選手と言われる所以はここにあると私は考えています。


おしまい。


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