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【MTG】非公式フォーマット「パワー99」は本当に楽しいのか?



1.「パワー99」とは何か

 非公式フォーマット「パワー99」とは、端的に言うと「平均価格99円以下レア・神話レアカードと基本土地のみを用いたレガシー」である。99円以下はいつ切ればいいのか、レア・神話カードならならすべて使えるかの説明自体はMTG wikiに記載があるのでここでは省く。

一点だけ補足をすると、wisdom guildにある「トリム平均価格が99円以下になること」である。ビジュアル的には以下グラフの緑の線の部分だ。

名称未設定のデザイン (4)

2.なるほど、「パワー99」…やってみるか!

 かなり前にMTGを数年間やっていた筆者は、仕事やら何やらでスタンダードから離れて仲間とのMTGからも少しずつ疎遠になっていった。
落ち着いたころにはスタンのカードはすべて落ちており、手元に残ったのは買取に出すには価格と愛着のつり合いが取れない相棒たちであった。

 その後は、気が向いたら新セットのスポイラーを覗いたりするくらいだった。ショップにも行かず、対戦もせず、ただMTGを遠くから見ている緩いファンとなっていた。

 私とMTGのその緩いつながりは長く続いたが、ある時ひょんなことから「パワー99」を知るに至った。「カードプール自力で調べないといけない…あまりに異常すぎるだろ…面白いのか…?」というのが正直な感想だった。
一方で、自分がMTGをやっていたころの安いレアの知識が不思議と頭に浮かんできた。大活躍とまではいかなかったが、好きでなんとなく使っていたカードたちだ。

名称未設定のデザイン

 そうは言っても、MTGには対戦相手が必要となる。ダメ元で数人の友人に「パワー99」のことを話したところ、存外にも面白がってくれて早速お互いにデッキを組んで戦おうという約束をした。無理だと思っていたのでこっちが驚いたが、デッキを予備知識なしで1から組むのは多分高校生以来の経験で、ドキドキした。


3.デッキ完成&対戦

 苦心しながらも、目的に沿うカードを頑張って探した結果として「パワー99」の初のデッキが完成した。今見るとあまりに大味でちょっと笑ってしまうが、ブランクがあったことを考えるとまずまずの出来に思えた。

  基本的な動きを説明しよう。初めに大型の変異クリーチャーを裏向きで場に出す。

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 そして、ブリンクカードを使って表側で場に出しなおす。巨大なクリーチャーがなぎ倒す。

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 少し賢い小学生が作った謎カジュアルデッキだこれ…という思いはありながらも、一人回しではなんとなく成立してそうだったので持ち込んでみた。
使うとブン周りでの圧殺具合が癖になる仕上がりで、小学生の心と大人の構築力が合体するとここまでエンタメ性が高いのかと感動した。

 また、各人が持ってきたデッキも個性の塊のようなものばかりで、今までMTGで見たことのない動きを一日でいくつも見ることができた。特に初見のカードが多いことも楽しさの一助となっており、「パワー99」の楽しさの片鱗を十分に感じることができた。

4.対戦して感じたこと

 前述の通り、「パワー99」の対戦は楽しかった。これを他のMTGプレイヤーに知ってほしいと思うくらいには。せっかく予想を上回る楽しさになったので、本記事を見てくれている方にも伝わる形で列挙したい。

●知らないカードが出てくることが楽しい
 ⇒自分のMTG歴と比較してMTGの歴史は当然長く、自分の知るカードなどはごく一部だと再認識。特に競技シーンで見かけるようなカードは固定化されるが、「パワー99」は腐ってもレアだけに色々なカードに使う余地があり初見カードがおもむろに場に出現する。ゆえに戦うたびに楽しさの幅を広げることができる。

●懐かしいカードでまた遊べる
 ⇒特にスタンでは顕著だが、ローテーションによりストレージから二度と出戻れないカードもある。環境の代謝の関係からやむを得ないが、思い入れのあるカードも各人存在するだろう。
それらのカードに再びスポットライトを自分の手で当てられるのは、楽しさだけでなく過去の喜びの追体験にもなる。

●1からデッキを作成できる
 ⇒レア・神話レアは、そもそも半数以上が「パワー99」で使用可能だ。ゆえにカードプールは相当に広く、メタはまだ当分固まりようがない。
1からデッキを作ることがベースで、その体験自体が昨今では貴重なのではないだろうか。デッキを新しく作ることがここまで楽しいというのは、私も久しく忘れていた感情だった。

●時を超えたシナジーで感動できる
 ⇒十分なカードパワーを持ちながら、スタン期には環境と他の収録カードの関係で活躍せずに終わるカードも多い。それらが全く別時期のカードと組み合わさって輝く姿は非常に魅力的だ。
例えば+1/+1カウンター系は各ブロックで小さく取り上げられがちだが、環境内で十分な力を出せるようなカードプールでないことが多い。
個人的なお気に入りは、最近のカードである「ネファリアのグール呼び、ジャダー」と「スカースダグの高僧」の組み合わせだ。自前で陰鬱を達成するトークンが出るなんて、あまりにもできすぎではないだろうか。

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 色々と御託を並べたが、私が感じた「パワー99」の楽しさをまとめると、MTGを何もかも手探りで始めていた【あの頃】の原体験をまた味わえるという点が大きい。
人が使ったカードを通じて知識が深まり、メタもなにもわからないまま戦い、自分だけのシナジーを見つけてニヤニヤする。今のMTGは情報の格差が狭まりきわめて平等な環境である一方、人と大きく違うことをするのは難しい。
その点、「パワー99」は未だに踏破からは程遠い未開の地が広がっており、だれでも開拓ができる。プレイ人数がまだそう多くない今だからこそ、自分でメタを形成するという貴重な体験すら可能だ。

5.現在の「パワー99」

 「パワー99」初体験の日から興奮が冷めない私は、同じく「パワー99」にハマった友人らとずっと遊んでいる。その中で、様々なカードを教え合い、シナジーを共有し、デッキがだんだん磨かれている。
日々解禁されるカードに一喜一憂し、今日も日陰レアをうまく使おうと奮闘している。環境初期は少なかった二色土地も増え、活用できるカードの幅も広がっていて非常に楽しい。

 現在も手持ちデッキ自体は多いが、一番のお気に入りはボロスの二段攻撃クリーチャーを中心に殴りぬけるアグロである。低マナの二段攻撃クリーチャーを強化・回避能力を付与してガツンとダメージを与える。
新セットのレアで、既存のデッキに入りそうなものがあると「安くなってくれ~」という不純な願うようになったのは良いやら悪いやら…

また、「パワー99」のカード検索に関しても有志の方がツールを作成してくださり、デッキ構築の難度がグッと下がった。これは完全に革命だ。
作成者様のコメントとしては、まだα版なので最終的には平均価格を確認してほしいとのこと。


6.結びに

 本記事を通じて「パワー99」の楽しさが多少でも伝わればとても嬉しい。また、本記事を作成するにあたって晴れる屋様のデッキ作成機能は非常に便利だった。特にリンクを飛べば「パワー99」のデッキ価格感も伝わりやすい点がありがたい。

 本記事をお読みの皆様も、「パワー99」をプレイしてくれると嬉しい。このフォーマットを触るだけで、その瞬間からレアカードを見る目がいい意味で変わること請け合いだ。そして、晴れる屋様で売られているレアカード詰め合わせも「パワー99」のとっかかりにはいいかもしれない。安レアが入っていればラッキー、高いレアがあってもラッキーと、買うだけでアドが確定してしまうのだから…


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