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マディソンについて考える

アーセナルには課題が山積している。何が一番の課題なのかと言われると迷うくらいに。ただ2列目のゲームメイカーは明確な補強ポイントと言えるだろう。エジル退団後、中央エリアで攻撃のタクトを執る創造性のある選手が欠如したことにより、サイド攻撃を中心とした武骨なアーセナルをまざまざと見せつけられた。その暗黒期の中の最後の望みとして使われたスミスロウ。その後の活躍は言うまでもないだろう。今季に於いても攻撃の軸となりうるのはスミスロウで間違いない。ただ彼はまだプレミアリーグでの経験は半シーズン程しかない。そしてお世辞にもフィジカル的にどんとこいというわけでもない。
彼の目に見えないプレッシャー、他チームからの厳しいマーク。これらは容易に想像できる。長いシーズンだ、ケガもあるかもしれない。そういった様々な要因を踏まえるとスミスロウの位置でプレーできる選手の獲得は必須と言えるだろう。

その中で噂に挙がり続けるのはレスターのジェームス・マディソンだ。
今回も例に漏れずsmarter scoutを使用して彼のスタイルを見ていこう。

まず、20-21シーズンのマディソンは

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結論から言えば、数値的には極端に下降した。
主に考えられるのは彼の怪我。19-20シーズン終了後から彼は腰を痛めていたもののコロナ禍によりシーズンオフの時間を取れず、完治と言えない中でのシーズンであり年明け2月にはその腰の痛みが再発し、6試合欠場という結果に…つまりは思ったようなシーズンを過ごせなかった。しかしながら今季は昨年とは異なり、しっかりとシーズンオフを過ごせており、腰の怪我の容体は良くなっていると前向きに捉えたい。なので、彼の本調子を見るには19-20シーズンが良いと思われるので基本的には19-20シーズンを中心に見ていく。


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まず注目していただきたいのは圧倒的な攻撃数値の高さであり彼の最大の持ち味はシュート意欲と前進気勢。スタイルを見ると、シュート数値が87であり、積極的にシュートを放つ。また前進パスの割合が86であることから、積極的にゴールに近づけるパスを出すことが分かる。それでいて攻撃数値が高いことから察するに、ゴールに直結するパスが多いと言えるだろう。

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こちらは今季のスタッツにはなるのだが、平均スルーパス数がプレミアリーグトップレベル。そして平均シュート数も10位。これはプレミアリーグのCFも含めた上でのランキングなので彼が如何にシュート意欲が高いのかが分かる。そしてキャリー数は少ないことから独力でプレーエリアを引き上げるタイプではなく、ドリブル数も多くはないので人を交わすような意欲があるタイプではないことから、彼にボールを渡してアタッキングサードでゴールに直結するパスやシュートを創り出すのが彼のレスターでの役割と言えるだろう。しかしながら勘のいい方はこのグラフを見て『キーパス数少なくない?』と思われるかもしれないが、彼の持ち味はラストパスという意味合いの創造性ではなく、ゴールに繋がるチャンスメイクだ。

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写真はFBREFの20-21プレミアリーグでのSCA(シュートクリエイト数)の順位である。つまりは試合平均でシュートに繋がったプレー数の多い順なのだが、彼はプレミアリーグで6位と好成績。彼の存在はチームにとってのシュート数を引き上げるものになりそうだ。これは余談にはなるが、スミスロウはキーパス要素が強いので、マディソンがシュートに繋がるプレーをし、スミスロウのキーパスといったように綺麗に役割が分かれると推察する。

20-21シーズンのアーセナルのシュート数はプレミアリーグ9位であり、来季に向けての課題は得点力である。しかしながらアーセナルにはオーバメヤン、ラカゼット、ぺぺを筆頭に得点を取れる選手は存在している。つまり得点を取れる選手は並んでいる。なので彼らにボールを繋げられる選手がいれば自然とチームとしての得点力は上がるだろう。
そういった視点から見ていくとどうだろうか。
マディソンの持ち味はシュートクリエイトへの貢献であり、彼の存在がチームのシュート数を創り上げるものだとするならば、獲得に値する選手だと思う。更に言うならば彼のもう一つの持ち味はシュート意欲の高さ。
20-21アーセナルはプレミアリーグでのペナルティエリア外からのシュート数は13位だった事から分かるように、前線の選手以外からのシュートが非常に少ない。彼の獲得は2列目からのシュート意欲の低さの改善も期待できる。そこから妄想を膨らませると、マディソンのシュート意欲の高さを相手が警戒したとすれば、前線のオーバメヤン等のストライカーへのマーク意識をずらす効果もあるのではないか。

以上、煩雑且つ稚拙な文章ではあるが自分なりにマディソンのスタイルを踏まえるとアーセナルの弱みを埋めてくれそうな選手になりそう。

ただ彼をどこで起用するのか、ここは意見が分かれるところだろう。
20-21シーズンのレスターの基本フォーメーションは
4-2-3-1、3-4-1-2、3-4-2-1であり、マディソンは主にトップ下で出場していた。一方19-20シーズンのレスターは4-1-4-1、4-3-3がメインであり、その中で彼は主にIHとして出場していた。
先述した通り、20-21シーズンの彼の不調が怪我ではあると思われるが、仮にこの怪我を言い訳とせずに数値だけで判断するのであればマディソン自身の強みをより引き出すとするならばトップ下より、IH気味に使った方が良いということも言える。

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雑ではあるが彼の2シーズンのヒートマップを見ると起用位置の変化がうかがえるだろう。19-20シーズンの数値の高さを引き出すとするならば、左サイドに置いてハーフスペースを主に使ってもらうのがベスト。
アーセナルには左サイドに縦への意識が高いSBが二枚揃っている。ティアニーにしてもタバレスにしてもワイドレーンの高い位置を取るので、左ウイングに求められるのはサイドでの突破力ではなく、ハーフスペースでのゲームメイクであり、位置的要素としてもマディソンは合うといえるだろう。


誰しもが分かるようにマディソンの獲得は一筋縄では行かないのは間違いない。ただ彼が獲得することが出来たのなら…今夏のアーセナルの本気度は言うまでもないだろう。

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