【ニコラ・ペペの進化】
クラブ史上最高となる£72Mでアーセナルに加入したぺぺ。19-20シーズンはプレミアへの適応に苦しみリーグ戦5G6Aと期待外れに終わってしまった。
今シーズンは同ポジションに直接的なライバルとなるウィリアンの加入、更にはヤングスターであるサカの台頭もあり序盤は思うような出場機会を得られずにいた。そんな中迎えたリーズ戦での退場を機にファン感情が期待から失望へと一変する。
しかしそれが彼の闘志に火を点けたのか、その後は見違えるような守備への積極性を見せ、終盤4試合で5Gと数字での結果も示した彼をsmarterscoutを用いて調べてみた
直近2シーズンの数値を見ていくとぺぺの変化が分かる。
まずは写真(19-20)を見ると
Dribble→66
Receive in box→26
Shoot→39
Pass toward goal→36
これを解釈するとボールを持つと基本はドリブルしワイドからのクロスか個人打開からのシュートがぺぺの基本スタイルだった
これらはリール時代と同じスタイル。
しかしこのスタイルには問題があり、この写真にあるようにぺぺは対人戦が強くなかった。恐らくリールからの加入当初はウイングで大外を張り、対人で勝負させるシティのマフレズ的なイメージを持たれた方が多かったと思うが(私もその一人)
そこはプレミアの壁なのか、対人で蹂躙できるほど甘くはなかった。
それはプレーマップから見ても分かる。19-20シーズンはペナ横への侵入が多かったものの、サイドに孤立して対人で勝負する場面では先述した弱さが出てしまい、終始ロストが目立つ事になってしまう
そして20-21シーズン、ぺぺの役割はどのように変わったのかを見ると
Shoot→79
Receive in box→65
Dribble→36
ドリブル(キャリー)が減り、ペナ内侵入とシュート意欲が増加した。つまりワイドに張ることを止めさせよりハーフスペースでの仕事に専念させた事によってぺぺのゴール数は増加した。
19-20 5G6A → 20-21 10G1A
役割の変化はシュートマップを見るとより分かりやすく、19-20シーズンはワイドに張って個人打開を求められた為にシュート位置がペナ角に集中しており、期待値の低い位置からのシュートが目立っていましたが20-21シーズンは明確にハーフスペースを担当し、思いきってペナ内に侵入することでゴールからより近い位置でのシュートが目立つように。
その代償としてあげられるのがアシスト数の減少→オーバメヤンの侵入位置を奪う要因の1つになった可能性はある。プレー位置も昨シーズンとは異なりペナ内でのタッチが大幅増加。
そして当然の事ではあるが、昨シーズンはあれだけノーチャンスのエリアからシュートを打っていたので、今シーズンのようによりゴールに近い位置でシュートを打つようになれば自ずと決定力が上昇する。オープンプレーからのシュート精度は76になっており、プレミアの平均的なWG比較でも上位のレベルになっている。
また彼の進化は攻撃面だけではなく、守備面でも明らかな改善が見られた。それは守備の意識の高さであり昨シーズンは64だった守備量が今シーズンは99とプレミアトップの守備意識を備えるようになった。思えば今シーズンは最終ラインにまで戻って守備をする彼を見た方は多いはず。
加入当初は個人能力で0を1にするウインガーだと思っていたぺぺだが、リーグのレベルに苦労し移籍金という本人には何も関係のないレッテルを貼られた事によるプレッシャーは相当だったはず。
苦しい状況に追い込まれたぺぺの選択はこれまでの自らのスタイルを捨て、アーセナルというクラブで生き残る為のスタイルへの適応だった。年明けまでは非常に苦しんでいたものの、徐々に努力が成果となり、今となっては来季のエース候補に進化を遂げた。
もちろんアルテタ及びフロント陣の適性を見抜く目があったのは確かだが、何より彼自身の努力が起こしたものであることは間違いない。
真価を問われる3年目、進化を遂げたぺぺに懸けるのは期待ではなく信頼だ。
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