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足りない要素を埋めるロコンガ

19-20はジャカ&セバージョス、20-21はジャカ&トーマスと直近2シーズンは常にダブルボランチシステムを使用してきたアーセナル。ジャカの配球力とトーマスの総合力はリーグでも上位レベルなのは間違いないが、ボランチの位置が常に低く、前線に人数をかけられない。いわゆる後ろに重いビルドアップが常態化していた。それはパス本数を見ていくと分かりやすい。

下の写真は20-21シーズンのパス本数ランキングであり、アーセナルは5位に位置している。


こちらはキーパス本数。キーパスは10位でありパスで制圧している割にはライン裏を狙うようなパスが少ないことが分かる


こちらは前進パス数。前進パスも12位であることから、パスで保持している割には縦への意識が明らかに足りていないことが分かる


以上のことから現アーセナルに於ける問題点はパスはできるものの前進パス、キーパスといった前方向のパスが少ないことが挙げられる。

これが個人的に表現する後ろの重さというやつ
これを改善する為には後方の出し手の質を上げて後方の選手を減らすこと。
そして前への意識を持つ中盤を獲得すること。
前者は間違いなくベン・ホワイトが該当するだろう。彼については以前にも記事を出しているのでそちらを見て頂ければ。


となると後者の前への意識が高い選手とは……ロコンガでしょう
単純にスタッツを挙げれば分かりやすいと思うので

20-21ベルギーリーグDM(2000分以上)/44人
前進パス数→4位
成功率→4位
キャリー数→4位

国内リーグではあるものの彼は前へのパスの意欲と推進力があるのが分かるだろう。

しかし勘が良い方なら気づいたと思うが今シーズンのジャカも前方向の意識が高かったのは間違いなく、

20-21プレミアリーグDM(2000分以上)/50人
前進パス数→1位
成功率→2位

プレミアリーグでもトップレベルの前への意識がある選手なのは間違いない。しかしながらキャリー数は21位と中位であり、独力での推進力が欠けていた。また、これも数字上の話にはなるが、総パス本数に対する前方向のパスの比率に換算すればロコンガの方に軍配が上がる。

そういったデータを比較するためにSmarterscoutを使用する

数値はプレミアリーグ基準
攻撃数値や、守備量、質、プレー精度共に平均的なレベルでありプレミアリーグには即通用する選手。
スタイルを見ると特徴的なのはキャリー数値の高さ。独力でプレーエリアを引き上げられるのは現状のボランチではトーマスにしかない要素。さらに長短織り交ぜたパスで敵陣に鋭いパスを刺せる選手。この長短の意識のバランスが良いのも好印象。非保持を見ていくと守備量は平均的ではあるもののタックルやインターセプトといった個人能力で守備を抑えることはしないので個人的にはアンカーに置いて守備ブロック要員として置くのはトーマスの方がベター。仮にトーマスとのWボランチで考えるとするならロコンガが前目の可能性が高い

ロコンガのスタイルについてみたところで現アーセナルのWボランチのジャカ、トーマスと比較すると前進パスの数値が最も高いのがロコンガであることからジャカ、トーマスに足りない前への意識を持っていることが分かる。
また、対人戦の数値はリーグレベルを調整しており正確な数値ではないもののプレミアリーグ基準でもフィジカル強度は相当高いのでプレミアでフィジカル負けするようなタイプではない。
ジャカは退団の噂があることから優先すべきはトーマスとの相性ということになるのだが、トーマスの持ち味はまず守備の量、質の高さであることは上記の図から分かると思うので彼の強みを活かすには、やはりネガトラ時の掃除役、保持時の左右への散らし及び推進力を活かしてもらうのがベスト。しかし、ジャカと組み合わせたときのトーマスの問題点は彼が高い位置を取ることで非保持の守備に脆さが出てしまうこと。推進力を活かしきれないことがある。
これらの問題点がロコンガの加入で改善されると思われる。

先述したロコンガの特徴は、個人の推進力、前方向への意識を持つパス、平均的な守備意欲であることからトーマスよりも0.5列高い位置を取ることができる。となればトーマスを後方に置いて捌き役にし、ロコンガはアタッキングサードでの個人打開や攻撃のスイッチ役と、攻守に於いてこの2名が噛み合うと思われる。ロコンガは前の意識を高めたトーマス的な選手だと思うので、2人の補完性は高いと推察する


ロコンガを即戦力として見ているのか、将来性に賭けていると見るのかで評価は変わってきそうだが、現アーセナルに於ける中盤の選手には無い要素を持っている選手なので獲得する価値は大いにあるだろう。

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