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爆ぜる想い

今年は花火大会があるのかなぁ。

高くうち上がれば、
ある程度の場所から、
それぞれ見えるのだけど…

花火大会の趣旨は、
鎮魂歌みたいな、
そんな背景のものもある

「想いを爆ぜる」

主催者とは別枠で、
時に個人が花火を依頼し、
こういう想いがある
それを聴いてから打ち上がる花火

花火は一瞬で高く高く、
まっすぐに打ち上がる
そして心に鳴り響く音と、
パッと大きく広がる夜花

そして
ふんわりと白い煙を残し、
それもやがては見えなくなる
形があったのに
一瞬で耀いて、そっときえる

わすれられない花火がある
亡くなった10代の息子さんへと、
打ち上がった花火

そんなに早く、
高く高くいかないでという想い

空に大輪の花をさかせて

たしかに、いた記憶を
知らない人にも、
その存在があったこと

そして
輝いていたこと

これからも輝く想い

安らかに…そうは思わなかった

顔もなにも知らないけれど
こんな綺麗な大輪を咲かせた、
たしかな「命」があったことに、
想いをよせた

瞬きしたら見えなくなるから、
それさえ惜しんだ

煙がなくなるまで、
なくなった煙のない空が、
真っ黒ではなくて

濃紺のような空に

馳せた想いにふれる

今、未知なものと対峙もできず、
ただ脅える時間が長く続き、
抗えない脅威に怯えた

怯えてばかりいられない

生きていくには、
痛覚を麻痺させるように、
目をそらさないと心がもたないから

だけれども、
否が応でも向かせられる現実

今だからこそ、
空を見上げたい

一瞬の輝きだからこそ、
儚さと切なさで、
自分を強く想いやれる

涙もきっとながせる

笑うことも、
泣くことも、
できない現実がある

自分が今いるということ

暗闇の中に大輪が咲く

ただ、それだけで、
涙を流すことを許せて、
少しだけでも前に1歩をとだせる

線香花火の 
パチパチと輝くなかの真ん中に 

太陽のように
優しい灯りのような
「芯」がある

それが落ちるまで、
そう長くはない

落ちた瞬間に、
心の塊が一緒におちる

わたしは、
線香花火を儚く、
かよわい光だとは思わない

自分の指先から続く光は、
わたしの光だ

色んな想いをのせた指先に、
消化できない気持ちをのせる

光が終わって、
芯がおちる

芯をなくすには
まだ、はやいだろう?
…と自分に問う

線香花火は、
輝いて、かがやいて、
その灯りをおとす

そんなに輝いてないから

輝く線香花火は
人生の縮図だとして、
輝いてもいない間に、
芯を落とすわけにいかない

今年、もしも
花火大会があったならば、
のみこめない何かも、
行き場のない想いも、
打ち上がってくれるのにな

何の涙かもわからない涙も、
理由なんてつけずに泣けるのに

泣き笑いができるように

空を見上げながら、
重くなった荷物を1回おいて

諦めずに
自分の好きを抱えて、
人生を歩き出したい

足踏みはもうたくさんした

助走もたくさんした

空を見上げたい



※最後まで読んでくれた方、
ありがとうございます🥰❤