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HCD-Netフォーラム2020『ニューノーマル ~誰も取り残さない未来へ~』を聴講して

このnoteの内容

HCD-Netの周年イベントとしてフォーラム2020に参加しました。
基調講演で多数の貴重なお話を聞くことができたのでメモ。

どんなイベント?

HCD-Netフォーラム2020は、ニューノーマル ~誰も取り残さない未来へ~というテーマで開催します。
コロナ禍によって、人々の暮らしは大きく変わりました。
働くこと、学ぶこと、集うこと、つながることの本当の意味を考えて新しい生活様式を創っていかなければなりません。
人の価値観をとらえてシステムやサービスを考えるHCD~人間中心設計~は、今まさに重要な役割を担って、社会への貢献を果たすべき時だといえます。
今年のHCD-Netフォーラム2020は、完全オンラインにて実施し、講演・ワークショップ等を通して、様々な人の立場で、新しい生活の在り方を考える場を提供していきます。

【 開催概要 】
■日時:2020年11月27日(金)、28日(土)
■形式:フルオンライン開催

11:00~12:00
 基調講演① 熊平 美香氏(一般社団法人21世紀学び研究所・代表理事)
13:00〜14:00
 基調講演② 関口 昌幸 氏(横浜市 政策局 共創推進課・担当係長)
14:10〜15:10
 基調講演③ 平野 隆 氏(富士通株式会社 デザインセンター 戦略企画部・部長)
15:20〜16:20
 基調講演④ 藤井 保文 氏(株式会社ビービット・東アジア営業責任者)
16:30~17:00
 セッション:HCD基礎認定活動からの新たな報告とリリース
17:00〜17:10
 学術奨励賞 表彰式
17:10~18:20
 HCD-Net AWARD2020 表彰式

基調講演①

一般社団法人21世紀学び研究所・代表理事
 熊平 美香氏
『VUCA時代を楽しく生きるために - 多様性に化学反応を起こすマインドセット』

講演のなかみ
VUCA時代に突入し、誰もが新たな働き方、生き方を求められる時代になり、コロナ禍で進展したリモートワークは、これまでのマネジメント手法に変化をもたらした。
企業活動には、国連の持続可能開発目標SDGsが加わり、利益の追求と社会的責任を同時に果たすことが期待されるが、同時にテクノロジーの躍進と情報の民主化により、私たち人間の創造性と課題解決力は、飛躍的に向上した。
そのなかで人間も未知で複雑な問題を解決するために、OSをアップデートする必要がある。VUCA時代に相応しいOSにアップデートするためには、リフレクションが重要なのではないか?多様な人々と共創するための方策とは?

100点病のように、すぐに正解を求めるのではなく、少しずつやっていくことが必要である。必要なのは学習する組織である。

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学習する組織の構成員は、パーソナルマスタリー(自分が何者か答えを出すことが出来る人)である必要がある。

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主語が「会社」では学習する組織はつくれないのである。

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指揮命令型組織との対比で、自律型組織が求められる。

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また不確実性に対応するには、多様性の担保が必要である。

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多様性を担保するのは、メタ認知力であり、認知の4点セットを使うことで、メタ認知力を高めることができる。

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他社の意見を、自分の経験にあてはめて聞かないことが重要。

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基調講演②

横浜市 政策局 共創推進課・担当係長
 関口 昌幸氏
『サーキュラーエコノミーplusと横浜型ニューノーマル』

講演のなかみ
新型コロナウィルス(COVID-19)に対して、有効な治療法が開発されない中で、感染拡大防止に向けた取り組みも長期化が余儀なくされた私たちには、長期的な視野を持って対処し乗り越えていくため、持続可能な社会に向けた公民連携の取組をすることが極めて重要。
「SDGs未来都市」の選定を受けた横浜市では、「人」を重視しつつ『サーキュラーエコノミー』という環境にも配慮した持続的な経済活動を実施している。

地域活動の担い手は、かつてボランティアだったが、核家族化や女性の社会進出、高齢者の就労などによって減ってきている。持続可能にするために、「就労活動を通じて社会に貢献できる」モデルが求められる。そのために人間中心の考え方でのコミュニティデザインが必要であろう。

21世紀となり、地域での合意形成の形が変わってきている。ビジネスを創発して社会課題を解決するときに、「ハードの社会基盤」とは違うものとなっている。


基調講演③

富士通株式会社 デザインセンター 戦略企画部・部長
 平野 隆氏
『ワークスタイルとワークプレイスの新しい関係』

講演のなかみ
新型コロナウィルスは現代社会に大きな影響を与えた。
多くの社会構造を破壊したと同時に、これまで未来構想の域を出なかった新しい働き方が一気に現実化している。現状維持バイアスのブレーキが外れ、変化を受け入れざるを得ない状況に強制的に立たされた結果、フルオンラインの働き方などが生まれた。そのような状況において、さまざまな課題解決、前進するための新たな取り組み、一人ひとりが創造的に働くビジョンとは。


基調講演④

株式会社ビービット
 藤井 保文氏
『inclusivity and SDGs』

講演のなかみ

UX
海外では経営課題として認識されている、
UXの高さがすべてである。
会社の中にそのような能力をつけていくことが必要。

アフターデジタルとは
デジタル浸透社会としてオンラインがオフラインを多い、デジタル化して個人にひも付き、あらゆる行動データが利用可能な時代になる。(上海では現金利用率3%)行動データを使えるか使えないかが企業の生死をわける。

※ただし中国でおきたことが各国でそのままインストールされるという単純なことではない。

デジタルの世界
リアルを軸足にデジタルをおまけにつけることではない。
デジタルを起点に、リアル接点をどう活用するかということ。体験価値を高めることが必要。なぜなら接触回数が減るからである。
人はすでにデジタルに住んでいる。

競争の焦点が製品から体験へ
製品単体から体験全体での価値提供へ
人の中にもモードがあり、生活・スポーツ・ビジネス等モードごとにニーズが変わるので、製品単体への価値提供では、人の体験すべてに寄り添うことができない。製品を販売しているだけでは、行動をすべてカバーできない。

OMO
✗ オンライン・オフライン両方使わなければならない
✗ オンライン・オフライン両方使えばOMOだ

オンラインなのかオフラインなのか垣根がない状態のこと

であるとするならば、オンラインの部署とオフラインの部署が別れ、KPIも分断されていることは危険である。様々なステークホルダーがシームレスに連携していなければ達成できない。

企業プロセスベースで価値提供されていたものが、UXを起点にしてビジネスプロセスを組み立て価値提供することに変革すること。

ただし、行動データは集めようとすればするほど、行動データは集まらない。エクスペリエンスが重要。エクスペリエンスがよいと行動データがたまり、行動データがエクスペリエンスを向上する。

アーキテクチャの重要性
ローレンス・レッシグ「行動変容をもたらす4つの力」
 法・規範・市場・アーキテクチャ

UXがWEB上の体験から、社会でのリアルの体験を意味するようになった。
=企業やデザイナーが社会アーキテクチャを作れる時代
アーキテクチャ設計=人を変革するフィードバック

データの過信
データはすでにお金にならない。お金にしようとするのは逆効果。
データを自社のビジネス成果につなげようとするのではなく、
データをエクスペリエンスに還元してなんぼの世界になっている。

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特別講演

『WIRED』日本版 編集長
  松島倫明(まつしま みちあき)氏
 『未来を語ることはなぜ大切なのか? SFプロトタイピングの可能性』

講演のなかみ
パンデミックを経て、誰も予想できない未来へと現実が分岐した。いまや、現実が想像をはるかに超え、5カ年計画ですら意味をなさない時代にある。それでも未来を手にしたいなら、その強度に耐え得る唯一のツールとして、スペキュラティヴでフィクショナルな人類の想像力こそが求められる。
かつてSFの父ジュール・ヴェルヌが「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」と語ったように、SF作家たちが生み出す「虚構性を孕んだナラティヴ」には、混迷の時代を攪拌する「未来からの視線」が溢れている。

過去が現在に影響を与えるように
未来を考えることが現在じ影響を与える ーニーチェ

未来をどう考えるか、が現在に影響を与えるだろう。

私達の向かうのはユートピアやディストピア、あるいは現状維持ではなく、プロトピアだ。ーケビン・ケリー

シンギュラリティやAIのテイクオーバーも、そういった現状と人間は一緒にプロセスしていく、

生命とは自己生成する情報システムだ ーケビン・ケリー

あらたな地質年代 アントロポセン(人新世)が到来し、人々の営みはニューエコノミーに到達している。

希少性に価値をつけるのはなく、潤沢さに価値をつける時代
情報があふれる時代において究極のラグジュアリーとは意味と文脈である。

ミラーワールド

現実の都市や社会のすべてが1対1でデジタル化された世界

世界は隅々までデジタル化する
物質分子レベルでデジタル化する

デジタルツインで物理と情報が重なった時代に住んでいる。
そんな時代に、デジタルウェルビーイングとはなんなのか。
あらゆるものがAIによってコンセプチュアルに理解され始めている。

歴史は動詞になる

ある物理的な空間にいた情報は、デジタルツインによって遡ることができる。未来にそこに置いておく情報をデジタルツインによって予約することができる。時間を動詞として使えるようになっていく。

そんな世界で現実とミラーワールドをどうつなぐか?

建築家・豊田啓介が提唱する「2025年」の意味 
https://www.youtube.com/watch?v=nwYu0yMUsBA

リアリティからリアルリアリティ、ハイパーリアリティへ

自分が幸せで健康である → 私達がしあわせで健康であるというウェルビーイング

Sci-fiプロトタイピング

有り得べき未来をSFからバックキャストすること。


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