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統一コリアが正しく立った場合の日本の国益

前回記事をご覧になって、こんな感想を抱いた読者がおられるかもしれません。
「韓国がまともな国になれば良いなんて、そんなことははじめから分かっている。これまでだってそうやって期待して、散々裏切られてきた。いまの政権だって、いずれ左翼政権に変わったら元の木阿弥だよ…」と。

北朝鮮の工作員は、時間を掛けて反日世論を形成してきました。
韓国人が愚かだからではなく、思想の力とはそれだけ恐ろしい力を持つのです。
コリアン・ドリームを市民運動化する過程で、どれだけ間違った思想を払拭できるかが成功の鍵となるでしょう。

より普遍的な思想によって南北統一した場合、日本が受ける国益は以下のようなものとなります。

①安全保障
日本の喫緊の課題は、北朝鮮の核ミサイルおよび台湾情勢にあります。
実効性の高い解決策として核武装論がありますが、唯一の被爆国としてのスタンスを変えることを国際社会は許さないでしょう。
市民の力によって独裁政権を退場させる南北統一は、北朝鮮をソフトランディングさせる現状で唯一の解決策です。
地政学的に、統一コリアが中国と対峙するかたちで位置するようになるメリットは計り知れません。
その真逆、文在寅政権のような左翼政権が再来したシナリオと比較すれば、その恩恵の大きさは分かるというものでしょう(反日で結束した両国が核保有国となる悪夢)。

②経済
北朝鮮は豊富な鉱物資源に恵まれるにも関わらず、国民の生活レベルが数十年前の段階で停滞しています。
情勢さえ安定すれば、投資家はこのような経済発展のチャンスを見逃すことはないでしょう。
もちろん一時的に、(東西ドイツの統一のように)貧富の格差から国家の負担が大きくなることは避けられません。
文顯進会長は、韓国経済の足枷である財閥独占の構造を批判され、金融やイノベーションにおける民主化に着手されています。

汝矣島に新たな金融センターをオープンしたのは、その壮大な構想の第一歩です。
財閥独占からの脱却は、これまで誰も実現したことのない挑戦的な課題です。
しかしこれは統一コリアが真に自由の恩恵を享受できるかの、試金石だと言えるでしょう。

③政治理念(共有できる価値観)
文顯進会長は朝鮮半島の南北統一を語る上で、アメリカの建国理想を引き合いに出されます。

私はアメリカの学校に通い、コロンビア大学で歴史学を学んだ。私は歴史から多くの教訓を学び、近代世界に対する西洋の観点を理解するようになった。特に、アメリカの建国を学び、新しい国をつくる基盤として、根本的原則と価値に、アメリカ建国の父たちが訴えたことの重要さを学んだ。私は、これらの原則がアメリカだけに当てはまるのではなく、普遍的なものであると悟った。それはすべての人類に当てはめることができ、どこにおいても人権と自由の保障の基盤になるものだ。これが、私の父が夢見ていた世界をつくる鍵だった。

統一コリアへのビジョン 第2章

アメリカがなぜ世界の強大国となったのか、それはキリスト教理念に基づいた合衆国憲法が、自由と尊厳を「創造主に賦与された」権利として設定したからに他なりません。

文顯進会長は当座のビジョンとして、朝鮮建国神話の弘益人間理想を設定されます。
しかし民族神話を出発点としたビジョンの限界は、日本の八紘一宇で示されてしまったのかもしれません。

One Family under Godは弘益人間を内包するビジョンであり、いずれは東アジアを超えて世界に普遍化する潜在力を持っています。

韓国と北朝鮮がこのような政治理念を有する国へと生まれ変わるとき、彼らはもはや日本の頭痛の種ではなくなるのです。

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