夢の島で暮らしてる
仕事が終わって。
帰ったら奥さんと息子が寝ていた。
先に寝るねと奥さんが言って部屋に戻って
息子が見たことない寝相をして寝ている。
残ってた、いいちこを水で割って飲んだ。
炭酸水はもうなかった。
あまりにもすごい寝相をしていたので
時々鼻元に手をかざして、息をしてるか確認した。
そよ風みたいな息が手に触れて安心する。
ずっと更新できてなかったホームページが
なんとか手動で更新できそうなので一つ一つ打って更新した。一人一人の名前を打ちながら、こんなたくさんの人と関わってきて、関わっていくんだな、と思った。
色々作業しながらTVを流してたけど
ふと消してみた。シャワーも移動中もずっと音楽が鳴っていたから、しばらく何にもない部屋で虫の音が聞こえていた。
9月が終わる。夏も終わる。
せっかく整えた髪の毛も外に出たら2分で汗でびしょびしょになったり
靴を脱いだら足が臭かったり
都心から少し離れてるのに突然駅前でお祭りがやってたり
阿波踊りを見に行ったけどやってなかったり
高円寺の駅前の工事が永遠と始まらなかったり
そんな夏も終わってしまう。
よい夏だった。貴重なことがたくさんできた。
この夏があったら、またあったらって思う。
たくさんの人に会えたし、たくさん歌えた。
まだ音楽も続けられた。
次のアルバムに向けてようやくレコーディングも始まった。
成長曲線ぶっちぎりの体重の息子も大きくなってきた、日々とても嬉しい。
いいちこ、二杯目。
この前奥さんが
「小形さんは毎日早いねって言っても、ええそうかな、っていうから素敵だね」
と言ってくれた。
ちょっと鼻の下が伸びた。
音楽聞こうと思って、何にもない部屋で流したら、SIONの夢の島が流れた。
いいだろう いいだろう
俺たちは夢の島で暮らしてる
ああ、でもねえ。
本当は違うんだ。
日々めちゃくちゃ早いんだ。
そして、そうやって思いたくないんだ。
ただ怖いだけなんだ。
朝の中央線で
移住情報を永遠とスクロールしながら
罪悪感とともに×ボタンを押す。
息子が大きくなったらどこにいたいか
父親としてどうなってたいか
そんなことばかり考えていたら
歳をとってしまう気がしてしまった。
いろんな自分がよくならないこと。
ふざけるな、って思いながら
そうかもしれないな、って思うこと。
空気を読むことばかり覚えて
本当の本当がわからなくなること。
「もうだめだって思った時に、子供が連れてきてくれたとしか思えない出来事がきっとあるよ」
最近言われたそんな言葉が
熱く残る。
いいちこ、三杯目。
明日も朝早いのに。
ミルクあげたいのに。
息子はまだ起きない。
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