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「キミを乗せて」企画書

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キミを乗せて共に戦う、この空で。

あらすじ

産業革命真っ只中の【大瑛帝国】。
国内各所に謎の古代遺跡【畏怖すべき墓地】が点在するこの国の民衆は【スカイドッグ】という飛空艇を用いた競技に夢中だ。
16歳以上の1~4名のチームで飛空挺に乗り込み、規定の武器で戦い相手の空挺を墜落させた方が勝利となるスポーツだ。
少年【イソラ】は畏怖すべき墓地に眠る財宝を盗掘し日々の生活を送っている。彼の夢は5年前に他界した父の遺品のエンジンを用いた飛空艇を完成させスカイドッグで優勝すること。
彼の飛空艇は完成間近なものの、エンジンが【G-EMPTY】と原因不明のエラーを表示したまま動かない。
スカイドッグの予選が近付く中、イソラは墓地内で眠る少女【キンギョ】に出会う。

第1話スト―リー

天高くそびえる煙突群はもくもくと灰色の煙を上げ、昼間だというのにこの街の空はなんだか薄暗い。
後世ではこの薄暗い景色を産業革命と呼び、教科書にも掲載される発展途上の国――、大(瑛)帝国。
煙たい市街地を離れれば田畑と森ばがりの田舎風景が続くこの国には、各所にいつ誰が、何の為に作ったのかが全く解明されていない【畏怖すべき墓地】と呼ばれる古代遺跡が点在している。加工された巨石群で構成されその内部には現代の技術では到底敵わないような美しい装飾品が眠るため盗掘が横行している。

「……ふぅ」
大きな麻袋をふたつ背負った少年は、ひと仕事終えたように大きな息を吐いた。陽も明けきらぬ早朝、このまま骨董屋に麻袋の中身を渡してしまえば今日の仕事はお終い。そのあとは自由時間。

――【スカイドッグ】予選大会まであと少し。
その前に誕生日を迎え16歳になる少年、イソラは念願の飛空艇競技スカイドッグに初めて参加出来ることに胸を高鳴らせている。
盗掘品で少しずつ稼ぎを得て飛空艇に必要な部品を購入し、やっとの思いで此処まで辿り着いた。
――レーサーでありその競技中に父が亡くなってもう5年になる。父の遺志を継ぎ、自分も出場すると決めたイソラは遺品の壊れた飛空艇から奇跡的に無事だったエンジンを使い今、自分の飛空艇を組み上げている。
飛空艇は完成が近い。あとはエンジンの調整だけと行きたいところだが此処にきて暗礁に乗り上げている。

【G-EMPTY】――なにかが足りないとエンジンからのメッセージ。
その意味が解らずそれ以上の作業が進まないのだ。父の残した資料の中にもその文字は一切なく父の友人に当たる人たちに聞いても解らないという。
そもそもがかなり古い型のエンジンらしく設計図も残っていないため誰も構造がわからないというのだ。

遺跡近くの林に隠していた自転車に近付く。流石に徒歩で骨董屋まで運ぶのは効率が悪い。荷台に麻袋を置きロープで自転車に固定する。
林に囲まれたこの畏怖すべき墓地は巨石が四角く積まれ半地下のような形状をし、四方に明かり取りのような穴が開いている。其処からイソラは出入りしていた。
自分が使用した穴と別の場所を自転車で横切り――見つけてしまった。

腕だ。
穴から外に救いを求めるように腕が伸びている。
イソラは自転車を降りその腕に近付く。
それに触れ、優しく引くと簡単にその先は現れた。
――それは雪のように白い肌の、女の子だった。

第2話以降のストーリー

イソラは少女を自宅へ運び込み、様子を見ることにした。
衣服以外持ち物もなにも持たない彼女であったが、身に着けていたワンピースの裾に【name:kingyo】と刺繡が施されていた。
キンギョ……彼女の名前だろうか。

――正午を過ぎても少女は目を覚まさないため、陽が暮れてもこのままであったら医者を呼ぼうと、イソラは席を離れ飛空艇の作業に戻った。

エンジンは相変わらず【G-EMPTY】と表示したままでなにが足りないのか解らないままだ。一度燃料かと思って用意しては見たが給油口らしきものは見当たらなかった。楕円状のエンジンには人の腕が丁度2本入りそうな穴が開いてるだけで表面はつるりとしている。ホースやケーブルを繋ぐ差込口はあるものの現代のエンジンとは全くことなる形状すぎて、これはもしかしてエンジンではないのかもしれない――そんな不安さえ過ってしまう。
昼食を摂ることも忘れ、イソラは作業に集中していると背後から声を掛けられる。

「アナタ、飛空艇作っているの?」と。
驚き振り返ると其処にはベッドで横になっていた少女――キンギョがいた。

「あ、ああ。レースが近いんだ。あとはこのエンジンを調整すれば」
「……操舵士は」
「ぼ、僕だよ」
「アナタが?」
少女は怪訝な表情を見せ「アナタ、鍵を持っていないのに?」と言う。
鍵とは何のことだろうか。イソラが疑問に思っていると少女は両手首に巻かれた包帯を解き、イソラに向けて腕を出す。
「これが、鍵」
両手首の内側に金属が何か所も埋め込まれている――?

「私は【Gタイプエンジン】の操舵士、【少女(ガール)】。識別名称は――」
「……【キンギョ】、さん?」
「……そうとも言う」
そう言うと彼女はエンジンに不自然に空いている穴に両腕を入れた。

「え、ちょっとッ!?」
イソラの制止も気にせずキンギョは小さくなにかを呟く。
するとどうだろう、モニターにずっと表示されていた【G-EMPTY】の表示が消え、【FULL CHARGE】と表示され音を出し動きだしたのだ。

「……で、此処はどこなのかしら」

――彼女は何者なのか。

太古の文明――その当時も国同士の争いが絶えなかったという。国主たちは自分たちの代わりに半人工生命体の少女たちを作り上げ巨大飛空艇に乗せ戦わせたのだ。
そんな状態は何十年と続き、その後国同士が平和協定を結ぶことにより少女たちはお役御免となったのだが、彼女たちは老いることも死ぬことも出来ない兵器でもあるため、反逆を恐れた人間たちはのちに畏怖すべき墓地と呼ばれる石棺に生きたまま閉じ込めたのだった。
少女という不安要素を排除に平和となったと思われた国だったが結局超強力な兵器により一瞬で塵となり滅んでしまう。
その後何百何千と時が経ち、大瑛帝国の時代が始まるのだった。

――イソラは誕生日を迎え、16歳になりスカイドッグ予選大会が始まる。
前年度成績優秀チームの【チーム・Mr.ランドナー】や【S.S(SuperShine)ブラザーズ】にもキンギョに似た少女たちが在籍しているようだ。
この国の過去にも繋がる彼女たちの存在と、イソラの父の生い立ちも関係して物語は動き出す。


#週刊少年マガジン原作大賞

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