地震で建物が殆ど潰れたのに「設計した家だけが潰れなかったらとても恥ずかしいこと」なの?!

少しだけのシリーズで1級建築士の私が地震と建物について考えてみました。
私が学校生活を卒業して神戸市役所に奉職したのは
今から38年前になります。

営繕課設計第一係に辞令を頂き勤めはじめました。

課長は市役所内では有名な方で
元々のお金持ちと相まって「言いたい放題」の個性の持ち主です。

私は設計係では珍しく内部設計に勤しんでいたのですが
あるとき市長部局の行政監察室から私の設計が「過剰設計」ではないかと
指摘を受けました。

(過剰設計とはひと言で言えば「強すぎる建物を造った」と言うことです)

資料を作って抗弁してその場は解決しましたが
問題はこの後起きます。

忘年会の宴席が終わりになって

「地震ですべての建物が潰れているのに
自分の設計した建物だけが潰れなかったら
とても恥ずかしいものだ」

と大声で言い放ったのです。

潰れなかったら
過剰な設計だったということで
公費を無駄に使ったことの証明だ
とおっしゃるのです。

その意見は
何か説得力があるけど
絶対に間違っているような
気がしました。

私はそれからも
「過剰設計」を続けて
もう充分に経験が積めたので
4年で神戸市役所を辞めました。



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