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RPA活用のポイント(4):Web連携

業務でWebを使うことも多いと思いますが、ここではいくつか典型的な活用例を紹介するとともに、Web特有の注意点も指摘しておきます。

①Webアプリの利用

Webアプリの利用について、先にも触れた「交通費精算」を例にとり説明します。交通費精算は一般的に従業員が経費精算の申請書に日付、訪問先、交通経路、運賃を一覧形式で記入し、経理に提出します。経理はWebの路線情報サイトを使い、運賃の確認作業を行います。外出の多い営業マンをたくさん抱えている企業では、この確認作業に膨大な時間とコストをかけているのではないでしょうか。

このようなWebアプリを使う業務もRPAの得意領域です。経費精算の申告書が仮にExcelの場合、ロボットは専用のメールアドレスに送られてきたExcelを開き、出発地と到着地をWebの路線検索画面に入力します。最も経済的な運賃を取得し、申請書に記載されている申告金額と一致しているかをチェックします。これの作業をひたすら繰り返します。

金額が不一致であった場合、どのような対応をとるかは企業によってさまざまでしょうが、もし申請者に差し戻すルールであれば、ロボットが自動的に返信メールを作成して申請者へ差し戻します。金額に不備がなければ承認者へ回します。 

②Web情報の収集

この典型例として「口コミ・評判情報の収集」があります。Webには消費者の情報にあふれているので、ロボットを使って情報収集するというものです。たとえば自社の商品に関する口コミ情報を集め、商品開発や営業戦略に活用するのです。不満をかかえている消費者がいれば何らかの対応をしたほうがよいでしょうし、また誤った情報や悪質な書き込みがあれば、これも何らかの対応が必要でしょう。

無限に広がるWebの世界で、情報収集を人手で行うなど気が遠くなる作業ですが、これこそRPAによって常にモニタリングする仕組みを作っておけば便利です。具体的には検索キーワードを設定し、ロボットが定期的にWebを検索します。自社の商品名はもちろんのこと、もう少し絞り込みたければ「評判」「口コミ」「最悪」「おすすめ」などのキーワードを設定し、絞込み検索を行います。あるいはショッピングサイトの評価や口コミなどの特定ページを選び、その情報を収集してもよいでしょう。同じ情報を繰り返し収集しても意味がないため、重複チェックもロボットが行います。

③Web連携で注意すべきこと

RPAでWebを操作する場合には注意すべきことがあります。これはWebが外部システムであるため、画面構成が勝手に変わり、RPAがストップする可能性がある点です。

自社システムや購入した市販ソフトは、アップデートでもしない限り画面構成は変わりませんが、Webは先方の都合で勝手にアップデートされてしまいます。また画面遷移の途中にキャンペーンなどのポップアップ画面が入ったり、画面の上部にシステム障害などの緊急情報が表示されたりもします。RPAがこのような想定外の画面に遭遇するとエラーになってしまうのです。

ただし画面が変わると必ずエラーになるわけではありません。これは設計の方法にもよりますが、たとえば特定のボタンをクリックする場合、RPAは画面にあるボタンの「位置」にもとづいてクリックするのではなく、プログラム構造の「オブジェクト」にもとづいてクリックします。したがって少々位置が変わっても、オブジェクトが同じであれば正常に動きます。しかし画面構成が大幅に変わると対応できません。

画面構成の変更に対処する設計上のテクニックはさまざまありますが、100%の対応はできないため、ある程度リスクがあることを前提に対応しておいたほうがよいでしょう。具体的には、RPAが止まった場合を想定してスケジュールに余裕を持たせたり、手作業で対応できるような手順を用意したり、あるいはリスクを許容できない業務にはRPAを避けたりするなどです。

詳しくは下記をどうぞ!

定形業務を効率化する実践RPAガイドブック

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