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クマのおいとま(4)

 山に行った主に対抗して、私は海へ行くことにした。
 見たことのない世界が広がっている。
 はしゃぐ心を抑えられない。

「仄かに光っていて美しいです」
「竜宮城の場所をご存知ですか?」

 ひたすらに海の中を覗いてしまいそうになるが、時間になったので移動する。
 主が「水族館に行くならコレを見るべきだクマ〜」と言っていたので。

「水族館といえば……」
「すごいジャンプ力です!」
「なんと身軽なのでしょうか!」

 ホイッスルの音に合わせて軽快に水面から飛び上がるイルカ、派手な水飛沫に圧倒される。
 この手では小さいかもしれないが、めいっぱい拍手を送った。

「主のお洋服と同じ色のお魚です…」
「海にも植物が生えてるですね。え、違う?」
「仲良くみんなで立ってますね」

 そろそろ足が痛くなってきた。
 この水族館の最後の場所に向かう。
 入り口の先には水の洞窟があった。

「おお…! 溺れてしまいそうです…!」
「空を舞うイルカ! なんと優雅なのでしょうか」
「と、とたけけさん! 分身の術を……!?」

 この日は有名なゲームとコラボしていて、館内に流れる音もゲーム内と同じBGMになっていたらしい。
 主に言ったら、羨ましがるだろう。
 その表情を思い浮かべて少し胸がスッとした。

「マスコットキャラですって」
「珈琲はミルク入りしか勝たんのです…」

 山の景色は知らないけれど、海の方がずっといい。
 山小屋にいる主を想像してみる。ちゃんと食って寝て元気にしてるだろうか? ぐでっとせずにシャキシャキ頑張ってるだろうか?
 ……お暇の日にそんな事を考えても仕方ないので、主の為にお土産くらいは買っておこうと思った。



【行った場所】
 八景島シーパラダイス


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