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サービスマーケティング~サービス・ドミナント・ロジック~

今回は、サービスの重要性についてサービス・ドミナント・ロジックという考え方を元に事例を踏まえざっくり紹介したいと思います。
参考書籍:『サービスマーケティング(著:黒岩健一郎、浦野寛子)

サービスとは

Wikipediaによると「経済用語において、売買した後にモノが残らず、効用や満足などを提供する、形のない財のことである。第三次産業が取り扱う商品である。」と定義されています。(一部引用)
定義上、サービスは第三次産業に分類されています。

なぜサービスが重要なのか?

ぺティークラークの法則では、各国の長期間にわたる膨大なデータから、経済社会の発展につれて、第一次産業から第二次産業、第三次産業へ就業人口の比率、国民所得に占める比率の重点がシフトしていくと言われています。

その理由としては、、、
①エンゲルの法則
 所得が増えても人間の食べる量は変わらないので余ったお金は、製品や、サービスに向う
②労働生産性
 技術が発展すると自動化が進み人がいらなくなる
③アウトソーシング
 製品工場が自社で掃除をしなくなりアウトソーシング(掃除代行サービス)するようになる
そうなると、統計的に第一次産業→第二次産業→第三次産業へ労働人口がシフトしていく。
そのため先進国ではサービス業の割合が増えていっているのです。
また、近年は情報技術の発展により、消費者間のコミュニケーションが安易かつ安価になったおかげで、エアビーやメルカリ、ウーバーなどのサービスが生まれ、サービス企業の存在感が大きくなってきています。

2021年4月時点でのアメリカの企業の時価総額ランキングは以下のようになっています。

1位 アップル(サービス業)
2位 マイクロソフト(サービス業)
3位 アマゾン・ドット・コム(サービス業)
4位 フェイスブック(サービス業)
5位 アルファベット(サービス業)
6位 テスラ
7位 アリババ・グループ・ホールディングス(サービス業)
8位 台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング
9位 JPモルガン・チェース&カンパニー
出典:Yahoo! ファイナンスホームページ

実に、上位にランキングされている企業の6社がサービス企業となっています。
テスラに関しては、サービス業へは分類していませんが。非常にサービス業に近い形態をしています。
テスラは、自動車を制御する部品を「ソフトウェア」主体の設計としており、購入後もiPhoneの用にアップデートで常に最新状態が維持できる仕組みとなっています。
また、テスラのハードウェアは同一で全て必要な機能は盛り込まれており、ソフトウェアで機能を制限することで車種のグレードを分けています
機能を制限した、比較的購入しやすい低価格なモデルを市場に投入し、それからユーザーがアップグレードしたい場合は、
アップデートボタンを押して追加課金をするだけでグレードを上げることができます。
自動運転も購入後に必要になれば追加課金でアップデートも可能です。

車両の販売後は、保守・修理だけだった自動車ビジネスを、サービスによって販売後も、売り上げを上げていくサービス主体のモデルに変えました。

モノとサービスがハイブリッドされた理想の形態といえます。

同様の事例はテスラ以外にもあり、日本企業だとコマツが挙げられます。

コマツは建機(ブルドーザー、ダンプトラック、ミニショベル)を販売する企業ですが、実は建機を起点にサービスでも利益を上げるモデルとなっています。
建機は、本体価格そのものより、メンテナンス費用やランニングコストのほうが高く、時にそれは本体価格の何十倍にもなることがあるといいます。
そこに目をつけ、コマツはコムトラクスというITシステムを開発しました。

コムトラクスとは、世界中で稼働台数約数十万台ともいわれるコマツの建機が発信する情報を、通信衛星回線や携帯電話回線を通して一手に集めるシステムです。
それぞれの建機が今どこでどのように稼働しているか、燃料はどれくらい残っているか、故障した場合は、どこが故障したかなどの情報が逐一、コマツに送られてくるので故障を検知した場合は、近くの販売代理店が即対応する事ができ、建機の故障で稼働が出来ないという時間が減り、建設作業の効率化へもつなげることができます。

また、膨大なデータを元に常に建機をモニタリングする事により消耗されているパーツがわかるので、計画的にパーツ交換を行う事ができるので事故防止やトラブル防止にも役立ちます。

さらに、アイドリング状態の建機も検知できるので無駄な作業も改善できます。
コムトラクスから建機のエンジンを停止する事も可能なので、万が一盗難された時もエンジンを止めて盗難を防ぐ事も可能です。

このように、サービスで価値を提供する事を『サービス・ドミナント・ロジック』と言います。

サービス・ドミナント・ロジックとは

サービス・ドミナント・ロジック(以降SDL)は実は近年提唱された考え方です。SDLを説明するにあたり、旧来の価値提供の考え方グッズ・ドミナント・ロジック(GDL)を踏まえて説明していきます。GDLは、モノ至上主義で、そのモノ自体(冷蔵庫やテレビ洗濯機など)に価値があり、企業と顧客でモノが取引されたらそれで関係が終わるという考え方です。モノからコトのモノになります。SDLは、サービス自体に価値がありモノはあくまでサービスを提供する為の装置という考え方です。SDLでは、顧客もまた価値をつくるパートナーとして捉えられるので、生産者や消費者といった区別はしません。コマツの例でいうと、顧客が建機を使用してコムトラクスに情報が集積されなければサービスが提供出来ないといったイメージです。コマツと建設会社があってはじめてサービスの価値が産まれるということです。

消費者のニーズが顕在化していて作れば売れる時代はとうに終わっていて、
モノがあふれ、安定したクオリティーのモノを安価に購入できる現代では、消費者は自身が何が欲しいか分からなくないでいるので、企業と消費者がともに価値を作る手法を模索した結果SDLという考え方が提唱されるようになったのです。

まとめ

モノからコトへと言われて久しいですが、経済発展に伴い必然的に変化してきたと言えるでしょう。
モノを作れば売れる時代は終わり、消費者も何が欲しいか分からない状態です。
モノを作ってからサービスを考えるのではなく、サービスを中心に据えて消費者と共創することを前提でマーケティングを実施するのはいかがでしょうか。

今回事例には挙げていませんが、SNSは消費者と共創することが得意なチャネルとなっています。SNSのご用命はグッドコミュニケーションズカンパニーまでお願いします。

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