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ある追放者の記録

説明

この文章は「モダンファンタジーRPG獸ノ森」の二次創作的文章となります。
自作シナリオに登場させた、もしくは登場予定等思いついたモンスター(獸や敵対的NPC)、シナリオマップ中のロケーションなどのネタを文章記録のようにまとめたものです。
主に自作シナリオのデータ作成時のネタ帳替わり、そして読んでくれた人の参考になれば……と思います。
本文中に登場するモンスターデータについては、ルールブック内容の転載になることを防ぐため、各種異形などの名前や描写以外は省きます。詳しいデータは各自ルールブック参照とします。

はじめに

「森」にとらわれてからの生活では、それまでの日常では気付かなかったことにも気づくようになる。興味の幅が増えてしまうと言った方がいいかもしれない。
数か月前の私であればアウトドア用品なんて検索しなかったし、ホームセンターも年に1~2回しか利用はしなかっただろう。
ただし、今回入手したものについてはそれらとは毛色が違うもので、直接的に「森」で役に立つとは思わない。だが、将来的に何らかの役に立つことを期待している。
先週の休日、珍しく蚤の市を見かけて立ち寄った。気まぐれだ。
その店は食器や少し懐かしいアニメのグッズが置いてあったのだが、スペースの一角に明らかに雰囲気の違う荷物がまとめてあった。
店主によれば、知り合いの知り合いから押し付けられたらしい。
「気が付いたら物置に置いてあった。気味が悪いからついでに処分してくれ」だそうだ。そのためか、値段はあって無いようなものだった。
その荷物の中に気になるものがあった。数冊の手帳だ。
なぜか気になって手に取り中身を確認し、そして店主にその手帳の値段を聞いた。
店主はタダでいいと言っていたが、申し訳なくなってしまい、懐かしいアニメキャラのキーホルダー(2個セット)を500円で一緒に買い取った。

長くなってしまったが、この手帳の内容について書いていきたい。
結論から言うと、この手帳は「森」で書かれたものだ。
どこかの追放者が、守り木を追放された後に記した日記だということが読めば分かる。(もちろんそれは「森」に関わっている人間にしか分からないだろう内容ではあるが)
以下にその内容を記していこう。特に興味深い記述があった場合は私の「考察」を適宜入れていくとする。

日付:放浪者の日記
考察:私の考察


20██/4/11

慢性的に浄化の魔石が足りなかった。
だから俺が追放されるのもまぁ仕方ねえとは思う。
この守り木に入った時の状況があまりにも運が悪かったんだ。
そりゃ厄介なやつから追放されるよな
生きられるだけ生きるしかねえな
食料はしばらく持ちそうなことが救いだ。

20██/4/15

食料が心もとなくなってきた。1週間持たねえとは思わなかった。
とりあえず食えそうなものを探すために彷徨ってみようと思う。
運が良ければ魔石か死にかけの獸がいるかもしれない。
いるわけねえだろ

生きた心地がしなかった。
ちゃんとした獸なんて何か月ぶりに見たか
しかも気味が悪ぃ……バカでかい蟻だ。
自分の体の何倍もある動物の死骸を運んでいた。普通の大蟻よりも足が異様に太かった。捕まったらひとたまりも無いだろうな。
とりあえず蟻が行列作ってやがった……どこかに巣があるかもしれない。
反対に進んだから多分大丈夫だろう。


考察:大蟻の獸

日記の描写だけでは分からないが、この大蟻は恐らく筋力増強の異形を所持していると考えられる。
もし森で出会った場合は捕まれないようにするのが吉だろう。
それ以上に厄介なのが群れを作っていると考えられる描写だ。
複数匹に囲まれないようにしなければ。

この獸は暫定的に筋力大蟻マッスルアントと名付けよう。


20██/4/19

水辺を見つけた。奇跡的に獸とは遭遇していない。その代わりまともな飯にもありつけていない。2日ほど草しか食ってない。
そろそろこの気持ち悪い虫を食う覚悟を決めるときかもしれねぇ
とりあえずこの水辺の水はそのまま飲んでも大丈夫そうだ……それだけが救いだ。

20██/4/20

発想の転換ってやつだな。
食いたくないなら食わせればいい……手持ちの虫を餌に魚を釣り上げることに成功した。
手先はそこまで器用じゃないが、時間はある。コスパは悪いが魚をゲットできた。正直足りねえがまともな飯を手に入れられたことに感動すらしている。それだけにここを離れなきゃいけないことが名残惜しい。
イワナ1匹マス2匹、ここからだって時に邪魔が入った。
探索者どもが対岸に居た。別にそれだけなら問題ないんだが、奴ら獸と戦ってやがった。
この水辺に似つかわしくないジェット機みたいな噴射音。魚が逃げるじゃねえかふざけんな!
見た目はただのアホウドリなんだが、こいつはジェット噴射よろしく探索者どもを蹴散らす何かを噴射してやがった。そのせいか奴らこの鳥をなかなか仕留められねえ。挙句には鳥に捕まれて上空から叩き落される始末だ。
下が水辺じゃなければ酷えことになってただろうな……まぁどうでもいいがな。
ちなみに俺は隠れてたから無事だった
どうにかアホウドリの化け物は倒したみたいだが、あんなのが出るんならここに長居はできねえなぁ……


考察:水辺と信天翁

水辺で釣りを行う話はよく聞く。
たいていはちゃんとした釣り具を使用しての話だが、この追放者のようにありあわせの道具で釣るものもいるかもしれない。
水辺は水分の調達が容易なだけかと思ったがこういうメリットもあるのだと気づけた。気持ち悪い虫の活用法も広がる記録だったのではないだろうか?
アホウドリ……信天翁の獸については、そこまで凶暴なものの報告はまだ聞いていないが(そもそも見た目的にも安全そうだが)、異形によっては十分に脅威となるかもしれない。
日記から推測するに、この信天翁は「噴気孔」と「連れ去りの翼」を持っていると考えられる。
と、いうことは距離を取りつつ機動力を生かして攻撃すれば対処できるのではないだろうか?

この獸は暫定的に噴射信天翁ジェットあほうどりと名付けよう。

さて、今回はここまでにしておこう。
まだ手帳を読み終えてはいない。
この追放者に何が起きたのか…そしてなぜこの手帳が日常界で発見されたか、興味は尽きない。読み進めていこうと思う。

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