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【日記】アラサーの小さな死

 人はいくつもの小さな死を経験してやがて心臓を止めるというが、つい昨日自分にも小さな死が訪れた。ソシャゲに課金できなくなっていた。

 人生を救われたと言っても過言ではないソシャゲがあった。当時の自分に響く話がいくつもあった。しかし、1年半くらい前から距離を置いていた。
 そのゲームとの距離ができてしまったのは、飽きたからではない。仕事関係のアプリをスマホに入れたら紆余曲折あって課金できなくなってしまい、仕方なく媒体を変えてアプリを引き継いだら、その媒体に触れる頻度が少なすぎて追えなくなった。

 昨日久しぶりにアプリを起動した。深夜2時に無料ガチャのことを思い出したからだった。
 久々にガチャを回したから新規カードがたくさん出た。ただ、いつ引いても出てくれる恒常カードが多かった。恒常カードが増えたんだっけ、かわいいなと思いながら、限定もほしいなと思った。

 数年前の私ならここで限定カード用のお得なパックを購入し、思考を殺して「回す」ボタンを押していた。でも「恒常カードが増えたから母数が増えて限定が出にくくなったんだ〜」と我に返り、そのまま寝落ちた。翌日目を覚ました私は「これがアラサーの小さな死か〜」と笑った。悲観ではなく、冷静さを身につけた自分を「大人だ!」と褒めたのだ。

 社会人って本当に時間がない。これも悲観ではなく、事実としておもしろい。
 いかに時間を潰すかに腐心して、時間があれば頭を悩ませていた学生時代とは違う。推しのために仕事をしていた20代前半とも違う。アラサーは悩む暇があるなら、娯楽で潰す。安価娯楽RTAだ。
 1万円を30秒で溶かすなら、1万円で据え置きゲームを買って、3ヶ月分の生き甲斐を手に入れる。いつくるか分からない推しのガチャに怯えるより、そこに推しがいる安心を安く仕入れて、向こう数ヶ月分の心の安定を図る。現金な大人はこうやってできあがるらしい。
 誰かの、なにかの特別になるために生きるのではない。生きるために生きる。星新一の言いたいこと、理解したぜ。

 ところですでに体力の低下を感じ始めている。私は遺伝上、ものすごく健康体なのでおそらく100まで生きる。残りの人生が今までの人生の2倍以上あるのだ。どうやって時間を潰そう。創作でもするか。

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