オトジェニック・THE ALFEE『夢幻の果てに』(1995年)
4年くらい前(2020年)だったか、インターネットに掲載されていた武田砂鉄さんの「ワダアキ考」に、
「THE ALFEEの話をすると場が和む」
というタイトルのエッセイがあり、惹かれた。曰く、
「皆さん薄々勘付いているとは思うが、THE ALFEEの話をすると、その場が和み、にこやかになる。どんなアーティストでも、そのファン同士が語り合えばにこやかになるに決まっているが、THE ALFEEの場合、ファン以外の人同士でも、話題にあげるだけでにこやかになる。「特にファンではない人がそのアーティストについて話した時、場が和む確率」という統計はとれないものの、他のアーティストと比べても突出した数値になるのではないか」
そうそう、そうなんだよ!と思って読み進めようとすると、
「ここから先は有料会員登録が必要です」
となっていて、先に進めない。
「なんだよ!気になるじゃないか!!」
続きを読みたいのだが、有料会員になることについ二の足を踏んでしまった。
しかし冷静に考えてみると、「みなさん薄々勘付いているとは思うが」と前置きして、さも当然のごとく「THE ALFEEの話をすると場が和む」ことを「あるある」のように書いていて、僕は大きく頷いたのだが、このタイトルを読んで、どのくらいの人が共感しているのだろうか?
高校時代、THE ALFEEの大ファンだった後輩がいて、僕はといえば、同じ3人組でも、YMOのファンだったので、THE ALFEEのファンでも何でもなかったのだが、それでも、その後輩とTHE ALFEEについて話をすると、その場が一瞬にして和んだのだった。後輩はTHE ALFEEのコンサートがあると必ず出かけていき、いまでいう推し活に余念がなかった。
それからずいぶんたって、つい数年前、その後輩にいまでもTHE ALFEEのファンなのかと尋ねたら、
「もちろんですよ。もう、半ば義務的にコンサートに行ってます」「生存確認ですね」
みたいなことを言っていて、またしてもその場が一瞬にして和んだのだった。どうして、THE ALFEEの話題が出ると、とくに熱心なファンというわけでもない私も、顔がほころんでしまうのだろう?
そんなことを思っていたら、その後輩から、
「YouTubeのALFEEキッチンを観て頂けたら和む理由がわかると思います」
というメッセージが送られてきた。
少し見始めたが、なるほど、和む理由がなんとなくわかる。が、その理由を言語化することができない。
今日(2024年7月19日(金))のTBSラジオ「武田砂鉄のプレ金ナイト」のゲストはTHE ALFEEの3人。THE ALFEEは今年(2024年)の8月25日で結成50周年を迎えるのだそうだ。そこでこの日の番組は、1時間半まるまるTHE ALFEE特集という異例のプログラムとなった。
武田砂鉄さんとTHE ALFEEの3人は、青春時代を「明治学院」で過ごしたという共通点がある。武田砂鉄さんは、母校の先輩としてTHE ALFEEのことをリスペクトしており、それが今回の特別プログラムの番組につながったと思われる。
THE ALFEEが古希を迎えるというのもびっくりする話だが、その3人がキャッキャキャッキャと軽口をたたきあう様子が実に微笑ましい。こちらも自然に笑みがこぼれてくる。
ふつうバンドだと途中で仲が悪くなって解散するケースがよくある。私が好きだったYMOがわずか5年ほどで解散したのも、人間関係のぶつかり合いが原因だったと言われている(のちに関係は修復されたが)。
しかしTHE ALFEEに解散の危機なんてものは存在しなかった。50年間、3人の関係性が変わらず続いてきたというのは驚異的である。
ケンカもせず解散もせず大病にも悩まされずずっと続いている3人組は、THE ALFEEとシティボーイズを措いてほかにいないんじゃないだろうか?いずれも私の心を和ませてくれる存在だ。
そういえばコロナ禍の2020年の歌番組で、阿佐ヶ谷姉妹が「星空のソーシャルディスタンス」という替え歌を、本家のTHE ALFEEと一緒になって歌っていたのには笑った。THE ALFEEの懐の深さを感じさせるとともに、阿佐ヶ谷姉妹にもケンカもせず解散もしないTHE ALFEE魂が宿っていることがわかるステージだった。
積極的なファンというわけではなかった私は、THE ALFEEのアルバムを買った記憶が全然ない。念のためiPodの中を探してみたら、『夢幻の果てに』(1995年)というアルバムが入っていた。私が大学院生の頃にあたるが、その時期になぜTHE ALFEEのアルバムを買ったのか、まったく覚えていない。しかしこれは、THE ALFEE結成50周年を祝して、30年前のアルバムを聴きなさいという啓示なのだろう。
#夢幻の果てに
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