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リアルすごろく

府中市美術館で開催中の「吉田初三郎の世界」展でもらった「ぐるり 初三郎と廻る 京王沿線すごろく」が面白い。
すごろくの作りじたいは至ってシンプルである。A3版の紙の中央に、吉田初三郎が昭和5年(1930)に作成した「京王電車沿線名所図絵」という鳥瞰図がカラーで掲載されている。そこには、当時の京王線の路線図も書かれている。駅名を見ると、現在は存在しない駅や、名前の変わった駅などがあり、青春時代に京王線のヘビーユーザーだった私としては、なかなか面白い。
さて、その鳥瞰図のまわりには、京王線の駅名を冠した升目がつながっている。サイコロを振って、出た目の数の通りにコマをその升目に沿って進めていくという基本的なすごろくである。スタートは「四谷新宿」という当時の京王線の起点となる駅で、ゴールは府中市美術館のある「府中」駅である。
ただし、要所要所に、ミッションがある。たとえば、「初台」の駅では「車窓の風景に気分がよくなり一曲歌う」、「笹塚」駅では「二回休み」、「松原」(現明大前)駅では飛び級で大学へ入学、4コマ進む」、「柴崎」では「深大寺に参拝。そばを食べるまねをする」、「調布駅」駅では、「ふりだしに戻る」、「車返」(現武蔵野台)駅では「北沢車庫前(現桜上水駅)に戻る」など、ところどころに一筋縄ではいかないミッションがあるおかげで、単純な遊びだがなかなか盛り上がる。

で、すごいアイデアを思いついちゃった。
これ、むかしの路線図ではなく、リアルでやったら面白いんじゃねえの?つまり、いまの鉄道を使ってすごろくをするのだ。
せっかくなので、京王線を例にとろう。新線新宿駅をスタート地点として、ゴール地点を橋本駅と設定する。
それと、ここが大事なのだが、あらかじめ、ところどころの駅で下車したときの「ミッション」を考えておく。そのうえで、ゲーム開始である。
新線新宿駅でサイコロを振り、出た目にしたがって電車に乗って進む。もしサイコロの目が「1」だったら、次の駅の初台で下車しなければならない。たとえばそこに「オペラシティがあるので気分がよくなり1曲歌う」というミッションがあらかじめ設定されていれば、そのミッションに従って、初台駅で1曲歌わなければならない。柴崎駅で下車することになったら、「深大寺に参拝、そばを食べる」というミッションをクリアしなければならない。紙の上でのすごろくだったら「そばを食べるまねをする」で許されるが、リアルすごろくだったら、本当に深大寺に参拝してそばを食べなければならない。
さらにサイコロの目にしたがって調布駅で下車したら、「ふりだしに戻る」で、新宿駅に逆戻り…、てな感じである。
だれがいちばんゴールに早く着くかを競ってもいいし、仲のいい人同士でワイワイ言いながら遊ぶのもよい。
京王線に乗るだけで、1日遊べるのではないだろうか。いや、クリアすべきミッションのある駅を増やせば増やすほど、1日では済まなくなる可能性もあるぞ。
どうですかこの遊びは?リアルな電車を使ってすごろく遊びをするなんてだれも考えつかなかったでしょう?私が考えたオリジナルの遊びですよ!

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