アシール・ヤーギーさんの日記
アシール・ヤーギーさんの日記が公開されています。以下に引用します。
「今日、私の母が泣いた。打ちひしがれ、ひどく疲れきった泣き声だった。誰もが認めるほど料理上手な母は、完全に火が通る前にマクルーバを焦がしてしまったことに泣いていた。失敗したのは母のせいではないのにそれでも母は泣いた。失敗の原因は、すでに4度目の避難を終えたあとでマクルーバを作るのに最適な鍋を見つけることができなかったからだ。4度目の避難場所はラファ。ここが私たちの最終地点となるのだろうか。
この日、焼かれたのはマクルーバだけではなかった。…(略)
母が泣いたのはマクルーバを作るのに失敗したからではなかった。失敗したことでマクルーバを捨てなければならなくなったことに泣いていたのだ。私たちは必死で母をなぐさめた。「神様はこのマクルーバを捨てなければならないことをきっと理解してくださるわ。みんなが何とかして食べてみようとしたのを見てくださっていたはずよ」と。
しかし、どれだけ声をかけても母は泣き続けた。私が母を元気づけているとき、すすり泣きながら笑いかける私の姿を見て母は起き上がった。目に涙をあふれさせながら礼拝用のマットを敷くと、泣きながら神に許しを請いはじめた。私は許しを請う母の姿にショックを受けた。母は心のよりどころだった家族や親戚を失う苦しみを味わっているにもかかわらず、食事を捨ててしまうことに泣きながら神に許しを請うなんて!」
*マクルーバとはアラビア語で「ひっくり返す」という意味のある中東の料理。炊き込んだご飯をお皿の上にひっくり返して完成させる。
ぜひ全文を読んでみてください。
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Passages Through Genocide
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