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THRILLER EPISODE:02

THRILLS ARE……QUALITY IMPROVEMENT
品質向上のスリル=中華飯店の大将と息子
「まずいなあ……」
「ほーはん、ほーひたの?」(父さん、どうしたの?)

「まずいんだよお」
「ほーはん、ほいひーよ?」(父さん、おいしいよ?)

「ええい! 炒飯喰いながらしゃべるんじゃねえ!」
(!? モグモグモグ、モグモグ。……ゴックン!)

「父さん、餃子も炒飯も美味しいじゃん。ダメだよ、不味いとか言っちゃ」
「旨いから問題なんじゃねえか! 勝てるのか? この味に」

「中華飯店からの問題提起だったんだね。確かに死活問題だ」
僕の実家はしがない中華飯店だ。お客さんは来たり、来なかったり。
「価格比較からしようよ。WILD HEAVENの
炒飯が278円の税込で300円、餃子が280円の税込302円かあ」
WILD HEAVENで買って来た中華料理の値段をなぞる。
「ウチの炒飯が450円の税込495円、
餃子が250円の税込275円だ」
改めて価格比較すると、雲泥の差の二社間の経営方針。
***
「餃子は勝負が出来るとして、炒飯は厳しい世界観だねえ」
「炒飯を半額で売るって手法もあるが……」

「半炒飯ってウチ幾らだったっけ?」
「半炒飯でも275円が限界だ……278円vs275円。カツカツだな」

「半炒飯に餃子セットって言うのは? 価格は勝ってる! 味も!」
「半炒飯おかわり自由とかにするか? こっちは薄利多売だ!」

「半炒飯なら、わんこそばの要領で徐々に腹は膨れて行くね!」
「半炒飯と餃子の店って植え付けるくらいに前面に出して行く、とか?」

「半炒飯が余ったらWILD HEAVENみたく冷凍で売ろうよ!」
「半炒飯の在庫を持ち過ぎない名案だな。冷凍技術を学んでみよう!」

「半炒飯って何回連呼? こういうのSEOって言うんだけどね」
「半炒飯とエスイーオー? 明らかに中国語じゃねぇなあ……」

「半炒飯に活路を見出す家族会議、ここに終焉だね!」
「半炒飯でも喰って、明日の開店に備えるか!」
***
半炒飯を餃子とセットで売り、おかわり自由にする。
半炒飯は学校給食の勢いを借りて大鍋で作る。
半炒飯は売れ残っても、学んだ冷凍技術で店頭販売。
半炒飯から始まる中華飯店生活、
お客さんは一人当たり平均何杯、半炒飯をおかわりするのだろう?
何事も挑戦すること。WILD HEAVENよ、中華飯店の意地を見よ!

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