日々の必要

 森鷗外は、『妄想』という作品の中で、「どのようにして自分を知ることができるか」というゲーテの言葉を取り上げています。それは「日の要求を義務として、それを果して行く」ことだというのです。
 日々、何が自分やまわりの人たちにとって必要なことか考えながら、一つ一つの生活の経験を積み重ねて行くことが、自分やまわりの人や世界を理解し、どのようにして生きて行ったら良いか知る道だということでしょうか?
たしかに、たくさんの本を読み、いろいろな人の話を聴いて学ぶことは、視野を広げ、思索を深めるために、大切なことだと思います。しかし、学ぶことが実際どのようなことか、日々の生活の中で確かめることが、自分のあるがままの姿を知り、生き方を見出すために必要だということではないかと思うのです。
 今週も、あれこれ考えたあげく、だれでもわかっているようなところにたどり着きました。ばくぜんと思い浮かべていることを、少しでも明瞭に現実に即して理解しようと、自分のために書いている文章だとお考えください。もしどこかおもしろいと感じていただけるところがあれば幸いです。
 
 *ゲーテの言葉「奈何にして人は己を知ることを得べきか。…汝の義務を果たさんと試みよ。やがて汝の価値を知らむ。汝の義務とは何ぞ。日の要求なり。」

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